教育振興基本計画1
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
今までの例を考えると「第4期」と付きそうなものですが、「新たな」という言葉がついて公開されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
はじめに
ほとんどの計画や施策に「はじめに」がついています。ただ、ついつい読み飛ばしがちですね。これを読むとどんないいことが起こるでしょうか。
行政職の皆様なら、「はじめに」を書かれた経験がおありの方もいらっしゃると思います。「はじめに」を書くときにどういう思いを込められましたか。「この計画・施策・文書を作成した意図」を書かれたことが多いのではないでしょうか。
どのような計画や施策も、作るために奔走した誰かの思いが込められています。その思い、背景、意図を少しでも理解してから読むと、書いてある内容がつながっていくように思うことがあります。何の前知識もないと、なぜこの施策とこの施策が関係あるのか、と思うことも、もしかしたらこういう意図があるのかもしれない、とわかるようになります。
わかると、予算の根拠の時にどんどん使いやすくなります。計画はこの意図があると考えられるので、この自治体独自の施策はこの計画のこの部分に合致している、という風に。
というわけで、はじめにの中から特に興味深いことについてピックアップしていきましょう。
「本計画の策定に当たっては、教育基本法を普遍的な使命としつつ、新たな時代の要請を取り入れていく「不易流行」の考え方を基調とした」とあります。つまり、新たな時代の要請を大いに取り入れている、と考えられます。答申の時点で、今まであまり使われてこなかった言葉がたくさん使われていましたので、これからの時代に必要だと判断された新しいことが多くあることが予想されます。
また、新型コロナウイルス感染症等の社会情勢を踏まえ、「初等中等教育から高等教育、生涯学習・社会教育の連続性を重視し、共通課題を横断的に捉える視点を取り入れた。」とあります。それぞれがそれぞれ何とかするのではなくて、横断的に課題に取り組む姿勢を示していますね。
コンセプトとして「持続可能な社会の創り手の育成」及び「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」の2つが掲げられ、5つの基本的方針と 16 の教育政策の目標、基本施策及び指標が示されています。今後詳しく見ていきますが、「ウェルビーイングの向上」というのは新しい言葉ですね。
さらに、「政府としては、本計画に基づき、各省庁が連携して、今後の教育政策を着実に推進する。」と述べられています。この計画で書かれている基本施策及び指標は国として推進することが決まっている=予算を取っていく ということですね。
最後に「本計画に基づいて我が国の教育政策が展開されるよう教育関係各位による取組の推進を期待する。」とあります。ですので、本計画に基づいた教育政策は、推進しやすいということです。
行政職の皆様には、仕事をやりやすくする、という観点でも、ぜひこのような文書を読んでいただきたいと思います。
来週からは教育振興基本計画の続き、我が国の教育をめぐる現状・課題・展望について読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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