教育振興基本計画3
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅰ.我が国の教育をめぐる現状・課題・展望
(3)社会の現状や変化への対応と今後の展望
ここ数年の時代の変化として、新型コロナウイルスの感染拡大と、ロシアによるウクライナ侵攻とが挙げられています。これら2つとも予測はほとんど不可能だったと考えられますが、今後の世界はそのような予測不能な出来事がどんどん起こると考えられます。
そのような時代に対応するためには、自らが社会を創り出していくという観点が必要だと述べられています。
また、予測可能なこととしては人口減少・高齢化が挙げられています。子供が生まれる数が減れば、人口は減少します。生産年齢人口が減り、高齢者ばかりが残ると、経済的に社会を支える仕組みを根本的に変えていかないといけません。
教育は、それらを見越して、そのような時代を生きるためにどのような資質・能力が必要なのか、それをどのように育成していくのか、ということを考える必要がありますね。
いつまでも、高度成長期の「ちょっと我慢していれば給料は絶対上がる」「働けば働いた分だけ給料が上がる」という時代に作られた「先生の(上司の・先輩の)いうことをきちんと聞いて愚直に勉強する(働く)」ことが美徳であるという価値観に縛られるのではなく、新しい時代に対応する価値観を取り入れていく必要があるということですね。
人の意見を素直に取り入れる、というのはとても大切なことですが、人に言われないと何もしない、というのは困ります。自分が主体的に何かを実施する、という考え方がより求められるということです。
(4)教育政策に関する国内外の動向
教育政策の中心は、文部科学省です。ただ、他省庁も教育に関わる施策を実施していますので、そちらも併せて確認が必要です。紹介されているのは以下3点ですが、総務省、経済産業省は度々確認して新しく何か始まっていないかを私はチェックしています。
- 教育未来創造会議第一次提言及び第二次提言(内閣官房)
- 総合科学技術・イノベーション会議の教育・人材育成に関する政策パッケージ(内閣府)
- 未来人材ビジョン(経済産業省)
国外では、OECDのラーニングコンパスやユネスコの「教育の未来グローバルレポート」があると述べられています。ラーニングコンパスは、とても魅力的な考え方で、37個のコントラクトのリストは、今後必要だと考えられる能力をリストアップしたものです。他のコントラクトが要らないというわけではなく、これが今最優先で必要だと考えられる、という意図で選ばれたということです。
私は「自他への敬意」が入っているところがとても好きです。
来週は教育振興基本計画の続き、今後の教育政策に関する基本的な方針について読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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