教育振興基本計画11
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針
⑤計画の実効性確保のための基盤整備・対話
(教育政策推進の実効性の確保)
計画を立てることはとても大切で大事なことです。それを、絵に描いた餅に終わらせないために、実効性の確保はとても重要な内容です。この計画では「実効性を確保するためには」ということで以下のように述べられています。少し長いですが引用します。
「経済的・地理的状況によらず子供たちの学びを確保するための支援、指導体制・ICT 環境の整備、地方教育行政の充実、安全安心で質の高い教育研究環境の整備、大学の経営基盤の確立、各高等教育機関の機能強化などを図ることが重要である。」
確かにそうですね、という内容が網羅されています。この後から具体的にどうしていくかという話に入っています。
(経済的状況によらず学びの機会を確保するための支援)
現在実施されている支援として
- 幼児教育・保育の無償化
- 義務教育段階の就学援助
- 高等学校等就学支援金・高校生等奨学給付金
- 高等教育の修学支援新制度及び貸与型奨学金
があげられています。今後は
の内容を踏まえ、新たな時代に対応する学びの支援の充実を図ることが求められる、としています。提言などの内容を確認しましたが、直接的にすぐ支出という性質のものではなく、見直しや負担軽減に重きを置いているように感じました。
(指導体制・ICT 環境等の整備)
日本の教員の仕事時間は国際的にみてもとても長くなっています。そのため、現場で教師不足が叫ばれて長く、本当に先生が「足りない」状態が続いています。講師を探すのに「数百人に電話をかける」ことがもはや当たり前の状態になってしまっているのです。
指導体制を整備する、という以前に体制を維持するための人員すらいない現状をどうしなければならないかということを考える必要があるということです。チーム学校として対応するために、外部人材の役割も重要だと述べています。ここに出てくる外部人材は以下の通りです。
- 教員業務支援員
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- ICT 支援員
そのほかにも学校には多くの外部人材がいます。先生が大変な状況を少しでも何とかしたい、ということを考えているスタッフばかりのはずです。チームとして学校をうまく機能させ、課題を解決していく必要があります。
課題は、今までの計画で読んできたように山積みです。この部分にも非常に多くの課題が述べられていますが、それは、どれも喫緊の課題であり、そう簡単に解決できないものになります。(そう簡単に解決できるならきっととっくに解決されています)
どの課題も、学校だけで解決するのではなく、地域と連携、首長部局と連携、教育委員会と連携等、横のつながりが重要視されています。学校の先生だけが過大な負担を負うのではなく、少しずつ環境をよくしていく必要があります。
来週は教育振興基本計画⑤計画の実効性確保のための基盤整備・対話の続きを読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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