教育振興基本計画17
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策
(考え方)
いよいよ具体的な話が始まります。
計画では「令和5(2023)年度から令和9(2027)年度までの5年間における①教育政策の目標、②目標を実現するために必要となる基本施策、③目標の進捗状況を把握するための指標を示す」とあります。
現在のどのような話もそうですが、目標が立てられると、それらは相互に関係しあうものですよね。ですので、1つの目標だけを見るのではなく、同時にどのような目標が立てられ、それらがどう関係しあっているのかを見ることも大切です。
また、国がこのように計画を立てることはとても大事です。基本的に「教育活動の多くが地方公共団体や民間において自律的に行われるものであることに留意」することはもちろんですが、国全体としての目標や成果に係る指標、国自身が取り組む施策を明らかにするために教育振興基本計画は作られています。
地方や民間の自律・主体性は尊重されるが、全体として目標を実現できるように計画を立てる、ということですね。
「本計画に示す指標については、以下のことに留意が必要である」と3点述べられています。
- 「今後5年間の教育政策の目標」の状態を表す指標として、現在の水準等を踏まえ、改善の方向を示すことが必要かつ適切であるものについて、指標として設定した
※数値の達成が目的化しないように - 各指標によって目標の達成状況を測ることができる程度は異なり、指標のみをもって目標の達成状況に係る全ての要因を評価することは困難であること
※個々の状況に配慮しながら、各施策の実施・評価に取り組んでいくこと - 計画期間中であっても指標の見直しを行う柔軟な取扱いも可能とすること
また、法律や、計画についての関係がまとめられています。箇条書きで確認しましょう。
- 教育基本法:地方公共団体は、国の定める計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律:教育大綱の策定に当たり、国の教育振興基本計画の基本的な方針を参酌する
→地方公共団体においては、各地域の実情を踏まえ、総合教育会議も活用しつつ、特色のある目標や施策を設定し、取組を進めていくことが重要
とあります。目標や評価の指標が決まっていなければ「なんとなくやれたような気がする」とかで終わりですが、評価の指標が時代に追いつかず硬直化していても正しい評価はなされません。みんなで妥当だな、と言える指標を常に話し合い、確認し、柔軟に対応することはとても大事ですね。
来週は教育振興基本計画Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策の(目標、基本施策及び指標)を読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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