児童生徒名簿の運用というただ一点だけでも、統合型校務支援システムの利便性は計り知れません
皆さんこんにちは
働き方改革で話題の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」についてご説明をさせていただきます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm
今回は、第1章、「統合型校務支援システムの導入」についてご説明いたします。
「統合型」とわざわざ銘打っているわけですから、カバーする範囲の広いシステムだということが想像できますね。ここでは
- ・教務系(成績処理、出欠管理、時数管理等)
- ・保健系(健康診断表、保健室来室管理等)
- ・学籍系(指導要録等)
- ・学校事務系
など統合した機能を有しているシステムを指すとのことです。併せて、「成績処理等だけでなく、グループウェアの活用による情報共有も含め、広く「校務」と呼ばれる業務全般を実施するために必要となる機能を実装したシステム」であるとあります。
先生方は「校務をしようと思ったら校務支援システムのトップ画面を開く」となんでもできる、という状態だとわかりやすくていいですね。なお、ここでも繰り返し説明されていますが導入によるメリットは「情報システムの利用により校務における業務負担を軽減、情報の一元管理および共有」とあります。
このシステムが学校運営を支える情報基盤である、という認識をもって導入に臨みたいところですね。
世間一般の認識としては、学校の校務を支える何らかのシステムが既に全学校に導入されている、というふんわりしたイメージがあります。「え、まさか通知表ってエクセルで毎回先生が手作りしてるの?!」というのは保護者にとって驚きです。「出欠簿は手書きで電卓で計算して手書きのものが公簿として残ってるの?」「エクセル手入力なの?!」というのは、やむにやまれぬ事情があるということをなかなか理解できない人もいるということですね。
その事情としては
- ・導入したいが予算が確保できない
- ・導入の必要性を感じない
- ・導入したいが調達できるだけの事務体制がない
が多くあげられます。
それぞれについて、手引きで解説されています。
「導入したいが予算の確保ができない」に関しては、第2章でより詳細な説明があるとあります。
コストの削減については先回もお話しした「機能や帳票のカスタマイズを極力減らす」が真っ先に挙げられています。
また、校務の情報化に対する地方財政措置について、「平成30年度文教関係地方財政措置予定(主要事項)及び文教関係東日本大震災関連の財政措置の状況について」(文部科学省事務連絡、平成30年2月15日)ので案内されており、ぜひ活用をということが強調されています。
「必要性の理解」については、システムが入った状態が想像できないのはある意味仕方がありませんので、大阪市が出したような具体的な数値がわかるといいですね。
大阪市ホームページ 校務支援ICT活用事業の検証結果をとりまとめました 平成26年8月8日
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000375/375351/kennssyou1.pdf 3Pより引用
「事務体制の整備」については、第4章・5章にて統合型校務支援システムの共同調達・共同利用の推進で方法が案内されているとあります。また、第2章も参考にして、要求仕様の決定をするのも一つの手だとあります。
ただ、どのような仕様書を書けば過不足のない導入ができるのか等、小さな自治体でなんでも一人でやらなければならない行政職の皆様には大変なところですよね。先進的な自治体の他の仕様書等、公開されている時期に確認する癖をつけておくと後々楽です。
ところで行政職の皆様にとってはおそらく庁内システムを使うのが入庁以来当然、という方が多いのではないでしょうか。
既にあるシステムだと導入効果が見えにくいうえ、導入する前に何が不便だったかわからないこともあるかと思います。
そのため、予算化の際に具体事例がかけずに困られていることもあるのではないでしょうか。
そこで、この手引きでは調査した多くの自治体のアンケートからbefore→afterがわかる図表を掲載しています。
ぜひご活用ください。
定量的効果については
平成29年度 校務におけるICT活用促進事業の成果物について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-001.pdf 14Pより引用
と、どの自治体もとても多くの時間が削減できたことがあげられています。システム導入前の事務作業といえば、「どれが原簿かすぐわからなくなる児童生徒名簿エクセル」や「毎回微妙に報告形式の変わるフォーマットでの定例報告」等本当に大変なものなのですが、児童生徒名簿機能が搭載されているだけで、上記のそれぞれの機能に「同じ名簿の原簿から同じものを取ってこられる」仕組みが実装されているわけです。原簿だけ直せばすべてに反映される、この素晴らしさが伝わるでしょうか。
また、定性的効果については
児童生徒に対して、教職員に対して、外部(保護者等に関して)それぞれアンケートより結果が出ています。
平成29年度 校務におけるICT活用促進事業の成果物について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-001.pdf 16Pより引用
平成29年度 校務におけるICT活用促進事業の成果物について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-001.pdf 17Pより引用
平成29年度 校務におけるICT活用促進事業の成果物について
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-001.pdf 18Pより引用
何か導入したら効果を発表しなければならないので無理に出しているのではないか、と慎重な意見もあるかと思います。
ですが、実際に導入した先生方は、「名簿を何か所も直さなくてもよい」というただ一点のみに関してでさえ、「絶対に導入したほうがいい」と異口同音に仰います。わざわざヘルプデスクまで電話をかけてきてくださって「よく導入してくれた」と仰って下さる先生がおみえになるほどです。
行政職の皆様は、校務支援システムについて前向きに検討してくださっているところだと思います。働き方改革で度々話題となっているシステムです。次回以降、より詳細にできるだけスムーズな導入のためのご説明を行っていければと思います。
何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。
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