校務支援システム共同調達・共同利用の注意点がまとめられています
皆さんこんにちは
働き方改革で話題の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」についてご説明をさせていただきます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm
今回は第4章3.3共同調達・共同利用を検討する際の留意点 第5章1 共同調達・共同利用の流れ5章2 企画構想 についてご説明させていただきます。
先回はメリットをご説明いたしましたが、今回はまず留意点です。
筆頭にあげられているのは、「個々の自治体の要望に応じたカスタマイズを抑制する」です。特に通知表にはこだわりのある学校も多いのですが、それらをすべてカスタマイズするとなると膨大な費用がかかります。また、保護者の立場として言わせていただければ、他校と通知表が同じだと、自治体内どこの学校に行っても同じように平等に評価してもらっているんだなという安心感があります。
現行業務をどこまでパッケージに合わせていけるか、というところが費用面(自治体のメリット)異動先でも同じシステム(先生のメリット)自治体内共通の帳票による平等化(児童生徒のメリット)を享受するために必要なところです。
続いては高等学校等が利用する統合型校務支援システムの調達です。都道府県単位で導入する場合、一つのパッケージで小学校から高等学校までをカバーしている、とは限らないため、どのような学校に対して導入実績があるのかを確認の上で共同利用の範囲を検討する必要がある、ということです。
続いては、共同調達、共同利用の流れですが、手引きでは都道府県が主導するものについての説明となっているということです。もちろん、複数の自治体での共同調達や、単独の調達にも役立ちますので是非ご確認ください。
大きな流れとしては5つの手順があげられています。
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P80から引用
それぞれの一連の流れで取り組むべき内容、ポイントをまとめたのがP81の図になります。導入の際にはここをご確認いただいて、まずご自分のわからないもの、あるいはわかっているけど確認したいもの等ポイントを絞ってみていただければ、一度にたくさんの情報を処理する必要もなく少しずつ読み進めていただけるかと思います。
それではまず、企画構想の部分です。
一番重要なのは検討体制の整備と土壌作りですね。ここがぐらぐらしていると、「だから言わんこっちゃない」と共同調達が決裂するどころか自治体間の関係性にまで影響が出てしまう可能性があります。
そのため、
- 1 既存の協議会や一部事務組合、広域連合等の検討組織を活用する場合
- 2 新たに体制を構築する
のどちらかの体制を考えることになるかと思います。どちらを選んでも、知事部局の情報システム部門には当初から協力を求めることが非常に重要になる、とあります。
「教育委員会だけで」話すのではなく、知事部局、首長部局の情報システム部門を巻き込むことで、例えばセキュリティポリシーに関して改訂が必要な理由をわかってもらいやすくなったり、どのようにすればネットワーク的に費用を抑えつつ連携できるか等のメリットが考えられます。情報システム部門も、後から聞くより最初から話を知っているほうが仕事がしやすいことはご理解いただいているかと察しますので、積極的に組織の中に入ってもらっていただければと思います。
先行自治体がどのような景気で共同調達・共同利用を検討し始めたか、という内容が紹介されていますので、それらの事例を基にして考えてみるとよいのではと思います。
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P83から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf
そして、手引きでは「参加自治体の主体的な参加」が非常に重要であると述べられています。例えばパッケージに業務を合わせていくことについて、抵抗がある自治体もあるでしょう。人口規模や財政規模も違うため、どのようにするのが平等といえるのかなかなか合意が難しいことがあるかもしれません。話し合いを重ねて、合意を得ていくことで大きなメリットがもたらされることを理解してもらうよう進めていく必要がある、とあります。
ですので、域内の市区町村がどのような状況にあるのか、調査を行って現状を整理するということが必要になってくるでしょう。手引きには県が主導して市区町村に対する調査の観点例が掲載されています。
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P84から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf
必要に応じて各市区町村に個別に聞き取りを実施することも有効、とあります。意識を調査し、その情報を基に今後の流れを検討していく必要があります。これらの情報を基に、まずは校務支援システムのパッケージベンダ(システムを作っている会社)から情報収集を行っていくとスムーズだとあります。
特に、各市町村が要望している機能をその校務支援システムが備えているかどうか、というのは重要です。これだけは絶対に欲しい、という機能が案外「小学校だけ」に装備されていたり、なかったり、ということもありますのでよく調べてください。P85には調査例が載っていますので参考になさってください。
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P85から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf
調査が進めば、だいたいやりたいことを実現できる校務支援システムが見えてきます。ただ、勉強会や打合せ時にデモンストレーションを行って実際に確認をすることが重要です。文字から想像するものと実物が違う、ということはよくあることですね。
このように参加自治体で意識を醸成していくことが重要だとあります。
次に、ビジョン(基本コンセプト)を決める段階に入りますが、これは参加自治体が「共同調達・共同利用への参加は意義がある」と思えるビジョンにすることが重要です。
各自治体が財政担当等に説明する際にも説得力ある説明が可能となり、理解を得られやすくなります。
鳥取県、福井県の例が挙げられていますのでご確認ください。
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P87から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P88から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf
そのうえで、ビジョンに基づいて関係者に丁寧な説明を行い、共同調達・共同利用の検討を進める自治体間の合意を得ることが必要だ、とあります。この構想の決定に向けては、教育委員会と知事部局の情報システム担当が強調したうえで、財政担当者とも十分な意見交換を行ったうえで進めることが必要だと強調されています。
共同するためには教育委員会単独では非常に難しい、ということですね。少なくとも知事部局の情報システム担当の協力がなければ、財政担当者の質問にもなかなか答えられない面も出てきます。
これを機に、情報システム担当との関係も深まれば、校務支援システムだけではなく、今後の学校の無線LAN整備等様々な場面で協力を得られることも考えられますね。
次回は第2部第5章の続き、計画策定についてご説明させていただければと思います。
何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。
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