財政措置の方針に目を配り、ICTに活用できるようにすることが必要です

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 ICT環境整備の財政措置についてご説明します。

手引きでは最初に地方財政措置についてとりあげています。全国どこでも標準的な行政サービスとして学校のICT環境の整備をするということが大前提になっています。

すべての地方が自身の財源だけで、行政サービスを一定に実施することができればよいですが、人口や産業の偏りから、それはとても難しいことだとわかりますね。どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう保証するのが地方交付税という制度です。愛知県には不交付団体がありますが、私の故郷にはありません。

この地方交付税は、使途を縛らず、一般財源として交付されます。地方によって必要なお金の配分が違うから当然ですね。ところが、教育のICT化を進めるために交付された地方交付税が、その通りには使われていないという現実があります。文部科学省が予算化し、地方交付税として交付してきたお金が全て教育のICT化に使われていたとしたら、3クラスに1クラス分程度のパソコンは、子どもたちに行き渡っていたはずなのです。

一般財源として交付されると、喫緊の課題を解決することに使われるのは当然のことですね。それでも、教育の情報化は、必要なことだという共通理解を作っていくことが必要です。GIGAスクール構想で、国から補助金を得てICT環境を整えても、次の更新は待ったなしでやってきます。タブレットパソコンは1度買えば10年使える、というものではありませんね。そのため、教育の質の向上に向けて、それぞれの教育の情報化ビジョンをしっかり構築することが極めて重要である、と手引きでは述べています。

整備を実施する際には、基準となる数字が必要ですね。児童生徒一人1台にタブレットパソコンを買うのに、児童生徒数は大体これくらいかなー、という状況で仕様書をつくる自治体はどこにもありません。

大体、人口の動態についての予測は各自治体で行われていますし、児童生徒数、学級数、学校数をもとに補助金等も算出されます。あるきまった日の状態で算出しなければ、仕様書は作ることができません。ですが、もちろん人口は流動しているわけで、整備が終わったら計画時と学級数が違っていました、はよくあることです。そのために、予備を持たせて整備をしたいところですが、「無駄を省け」の大合唱がそれを阻み、結果として学級数が増えた学校の児童生徒は、アクセスポイントが足りない教室で授業を受ける必要が出てきたりするのです。児童生徒に一定のICT環境を整備することもできなくなってしまいます。

そのあたりを、さまざまな方面に丁寧に説明し、特に議員の中にも賛同者が増えれば、環境が整備されることにつながり、結果として子どもたちは一定のICT環境を得られてうれしいですし、子どもたちがうれしければ先生も保護者も地域もうれしいですね。そうすると、あの議員のおかげだ! ともなり、議員もきっとうれしいでしょう。現場の声に耳を傾ける、というのはこういうことをいうのではないかな、と思います。

次回は、追補版第7章ICT環境整備の推進方策についてお送りします。

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