令和の日本型教育とは30

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

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本日は第3部「新時代に対応した高等学校教育 等 の在り方について」各論の1「高校生の学習意欲を喚起し、 可能性及び 能力を最大限に伸長するための各高等学校の特色化・魅力化」を読んでいきます。

答申では、まず最初に「スクール・ミッションの再定義」が掲げられています。存在意義や社会的役割等を明確化するということですね。ともすれば大学進学実績や就職実績など「出口がどうなっているか」が前面に出てしまいがちですが3年間通う生徒はどのような学びができるのか、地域や保護者受験生に対して、明確にしていく必要があると述べられています。つまり、「スクールポリシーの策定」が重要だということですね。入学から卒業まで、どのように教育活動を実施するか指針の策定が必要だ、と続いています。

普通科の高校が多くを占めるようになりましたが答申では「普通教育を主とする学科」の弾力化・大綱化が挙げられています。普通科、と全部ひとくくりではなく、当該学科の特色・魅力あふれる教育内容を表現する名称を学科名とすることを可能とするための制度的措置が求められる、とあります。大学の学部・学科名を見ると最近特色あるものがたくさん創設されていますね。「中国哲学文学科」は私が受験生の頃から気になっていたものですが、「電動モビリティシステム工学部電動車両システム工学科」と言われればもう一発で何を学べるのかわかりますね。

現代的な諸課題は、教室内の学びだけではなく、実際の現場に赴く等が必要だ、と述べられています。その通りですね。教室内で得た学びを、実際の場面で確かめることができれば一番いいですね。そのため、高等学校とそれらの関係機関(学びによってさまざまな相手が考えられますね)をコーディネートするコーディネーターの必要性についても書かれています。何をするにしても、今後は、「間を取り持つ人」が必要になってくると考えられます。調整コストは今まではあまり気にされてきませんでしたが、実は担当者の時間を相当使わなければならない仕事です。ツアーコンダクターのように「頼めば何とかしてくれようとする人」がいれば、旅行が快適に実施できるのと同じことですね。

普通科だけではなく、総合学科についても同様に、外部人材や地域資源の活用を推進することを求めています。

さらに、産業界と一体となって地域産業界を支える革新的職業人材の育成についても述べられています。いわゆる専門学校では、職業教育が実施されていますが、その職業を生業とする産業界の協力は不可欠ですね。最先端のことを学んで企業に来てくれれば、こんな力強いことはありません。

高等学校においても、様々な改善、改革が必要で、それらにICTを効果的に使えると良い、ということが述べられています。「これでいい」などという組織は世界中どこを探してもありませんので、課題を見つけたら解決していく、というPDCAサイクルをどんどん回すことができることを目指してご支援します。

次回は第3部「新時代に対応した高等学校教育 等 の在り方についていて」各論の3定時制・通信制課程における多様な学習ニーズへの対応と質保証を読んでいきます。

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