改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)のご紹介1

今回から、「改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)」をご紹介させていただきます。この資料ではGIGAスクール環境下で、ICTを用いた働き方改革の事例や方法がまとめて紹介されています。

非常にたくさんの例がとても具体的に説明されおり、かつ一つ一つの内容へ簡単へリンクできるようになっていて、興味のある部分から読んでいただける作りになっています。

また、例えば「欠席連絡を電話で受け取らず、フォーム化したい!」と思っている先生は大勢いらっしゃると思います。そんな先生がすぐに使えるフォームの雛形なども本資料に掲載されており、新たに作らなくても、ダウンロードするだけで使えるようになっています。

欠席連絡の他にも、テストの採点・集計等、多くの雛形やフォーマットがダウンロードするだけで使えるよう工夫されています。そのため、普段お時間のない行政職の皆様にも、手間の削減のために是非読んでいただきたい内容となっています。

「学校における働き方改革には、何か一つをやれば解決するという特効薬があるわけではないため、小さな取組を積み重ねることが必要です。」*1とされており、働き方改革には少しずつ取り組み、労力の削減を粘り強く繰り返す必要があります。

資料の構成

本資料は3つのパートに分かれた構成となっており、Part1では学校で実際に行われた働き方改革のモデルケースが、Part2では様々な校務のICT化の実例と、それによって年にどの位の時間が削減できるのかが具体的な時間数で説明されています。
そしてPart3では、学校でグループウェアを導入する手順や方法が、校務を実例に示されています。

Part1 「学校レポート わたしたちの働き方改革」では

Part1では、ICTを用いた働き方改革に取り組んだ学校の実例がモデルケースとして掲載されており、どのような体制で校務のICT化に取り組んだか、どのような人材を登用し、どのような方法で人材活用を進めていったかが解説されています。

また、取り組みのはじめから導入後の4週間にわたって取材をしており、校務がどのように変化したかの他、「学びを止めないICT」から「働き方改革のICT」へ*2と一歩進んだ学校への体制づくりについても解説されています。

その他にも、外部人材にどんな方を登用できると良いのか、校務を依頼する際にどのようなことに気を付けているかといったことが、先生方の視点だけではなく、仕事を依頼される側の視点からも説明されています。

Part1で取り上げられている3校の例では、いずれも校長先生が働き方改革に対して意欲的であることが特徴として挙げられます。以前にもご説明させていただいた通り、学校のICT化には、校長先生が陣頭に立つ必要があります。

そのため、とても難しいことかもしれませんが、例えば教育長のような、自治体の学校全体へ号令をかけることのできるお立場の方から、校務のICT化の必要性・重要性を説いていただくことも、ご検討いただければと思います。

Part2「実例で知る業務改善の具体的方法」では

Part2では、ICT化できる校務の紹介と、それによって一年で何時間の業務時間を削減できたかが、一つ一つの事例ごとに紹介されています。

例えば、「欠席連絡・健康観察」では取り組み内容に

・Web アンケートフォームを活用し、職員室の PC を通して保護者からの欠席連絡・検温報告を確認できるようになった。*3

と書かれ、担当一人あたりの年間業務の削減時間は

・日 10 分×年 200 日 = 33.3 時間/年*3

というように、1つの事例に対する効果時間が非常にわかりやすく掲載されています。

「年に33.3時間だとこれまでの手順から変更する手間の方が大きいんじゃない?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、朝の10分というのは普段から大変お忙しい先生方にとって、少しの余裕が出来たり、その時間で少しでも児童生徒と触れ合うを増やすことのできる、とても貴重な10分ではないでしょうか。

その他にも、いつかかってくるかわからない電話のために待機する必要がなくなったり、仕事が欠席連絡で中断させられることが無くなるので業務効率が上がります。また、電話を置いて、別の業務に取り掛かろうとしたときにまた電話がかかってくる、といったストレスからも解放されます。

また、この時に使用するフォームはPart3で雛形が用意されているため、先生ご自身で用意をする必要がない、ということも大きな魅力です。(「欠席連絡・健康観察」以外にも、複数のすぐに使える雛形が複数用意されています。)

欠席連絡・健康観察のデジタル化

<出典:文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part2 (PDF:6.8MB) P75
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_3.pdf (最終閲覧日2022年8月1日)>

Webアンケートフォームの雛形

<出典:文部科学省 改訂版 改訂版 全国の学校における働き方改革事例 Part3 (PDF:7.3MB)  P209
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

上図の「必要なもの」の左下にあるフォームをクリックすることで、Google フォーム、Microsoft Formsそれぞれで使用できるフォームがダウンロードできます。
(画像をクリックすると、改訂版 全国の学校における働き方改革事例 Part3 (PDF:7.3MB)(外部サイト)へリンクします。)

事例は細かく分類されており、必要な場面に応じたICT活用の具体例が挙げられている他、どのようなことで困っているかのケースごとに分けて掲載されています。
「具体的に改善したい業務がある方へ」や「一部の教職員に負担が偏っていることを解消したい方へ」など、場面ごとにICT化できる校務とその方法がわかりやすくなっています。(下図)

目次・Part 2 の構成

<出典:文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part2 (PDF:6.8MB) P17 https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_3.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

100以上の例が掲載されているため、まさに小さいことを積み重ねて働き方改革を推し進めるのに適した資料となっています。また、事例数の多さから、ICT活用にある程度慣れた先生にとっても「この部分も効率化できたのか!」というご参考にもなるかと思います。

令和3年度に行われた取り組みに対しては黄色く表示されておりますので、昨年度版をご覧になられた行政職の方も、一度ご覧になっていただくと、新たな発見があるかと思います。(下図)

取組リンクリスト2

<出典:文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part2 (PDF:6.8MB) P20 https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_3.pdf (最終閲覧日2022年8月1日)>

Part3「明日からできるグループウェア活用法」では

Part3では、学校へグループウェアを導入することで、具体的にどのような場面で役に立つのかの説明や、導入手順が掲載されています。

現在のGIGAスクール環境下では、GoogleアカウントやMicrosoftアカウント等を取得されている学校が多いと思います。それらを活かしてグループウェアの活用を行うと、より業務の効率が上がります。

例えば、「教職員・児童生徒・保護者にアンケートを行う」では、Webアンケートを取り入れることで、印刷やデータ入力などの多忙な業務を解消できることが掲載されています。

教職員・児童生徒・保護者へのアンケート

<出典:文部科学省 改訂版 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) P195
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

そして、「アンケートなどの雛形」では、様々な場面で使用できるアンケートの雛形がダウンロードできるようになっており、Google Workspace for Education、Microsoft 365 Educationそれぞれで、雛形をコピーして活用するための手順が掲載されています。(下図)

アンケートなどの雛形

<出典:文部科学省 改訂版 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) P151
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

アンケートなどの雛形活用手順

<出典:文部科学省 改訂版 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) P152
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

また、グループウェアの活用方法は「やりとり」「予定管理」「調査」の3つに分類してあり、かつそれぞれが難易度に分けて掲載されているため、最初は簡単な方法を参考にして導入し、ICT活用に慣れるにしたがって、少しずつ難しい取り組みに手を付けていく事が出来るようになっています。(下図)

グループウェア活用リスト

<出典:文部科学省 改訂版 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) P149
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
(最終閲覧日2022年8月1日)>

このように、各パートで校務の一部をICTに置き換えることを少しずつでも取り組んでいく配慮がなされています。そのため、どのように校務のICT化を行いたいかがわからない場合に、この資料を見ていただくことで、より具体的な参考となるのではないかと思います。

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。今回は、本資料の全体的な特徴や、各パートでどのようなことが取り上げられているのかをご紹介させていただきました。
次回からは、それぞれのパートで取り上げられている内容を、より詳しくご説明させていただきます。

引用

*1 文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/mext_00001.html
(最終確認日2022年8月1日)

*2 文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)(※ファイル容量が大きいためWi-Fi環境でのダウンロードを推奨します。) (PDF:22.1MB)  P8
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_2.pdf
(最終確認日2022年8月1日)

*3 文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part2 (PDF:6.8MB) P75
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_3.pdf (最終閲覧日2022年8月1日)>


投稿者プロフィール

田代 雄太
田代 雄太
株式会社ハイパーブレイン 教育DX推進部所属
教育情報化コーディネータ3級
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