その子に合ったものをいろいろ試せることが重要です

皆さんこんにちは

 

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第4章 視覚に障害のある児童生徒のICTの活用についてご説明します。

手引きでは、現在のコンピューターがわかりやすいインターフェースとしてGUIを採用していると述べています。その結果、視認性重視のこのインターフェースは視覚障害を持つ児童生徒にとって、デジタルデバイドをもたらす可能性がある、とあります。

Windows95が出たころ、私の全盲の友人は、「マウスでどこそこをクリックとか無理」と嘆いていました。「視覚障害者である児童生徒の情報活用能力を育成するためには,読み取りにくい画面の情報を,画面の拡大や色調の調節などで補うとともに,視覚から得られない情報については,聴覚(音声読み上げ)や触覚(ピンディスプレイ5等)などの代替手段により補うなど,個々の障害の状態に応じた工夫ができるようにすることが必要である。」と述べているように、全盲の児童生徒と弱視の児童生徒、視野狭窄の児童生徒に必要な代替手段は違います。その児童生徒に合った補助装置、代替手段が選べるようになるのが一番ですね。

障害を持つ、持たないにかかわらず、情報活用能力は日本の教育を受ける児童生徒が必ず身に付けなければならない基盤的な力と位置付けられています。デバイスのせいでその活用能力の育成が妨げられているようでは未来は明るくありません。

点字入力のできるソフトウェアを導入したり、キーボードの位置を覚えられるよう、キー配列についての知識を習得するのも重要ですね。アルファベットの大体の位置は同じでも、エンターキーやバックスペースキー、コントロールキーなどの位置はキーボードによって微妙に変わります。ファンクションキーに割り当てられている情報も変わります。まずそれが「変わることがある」という情報を持っていることが重要ですね。そして、各社のキーボード規格はそのうち統一してくれることを望みます。

学習の支援で飛躍的に情報量がふやせたのは、「文字がデジタル化され、点字出力や拡大出力、白黒反転等が容易になった」ことが大きいです。私が学生の頃は、印刷物を点訳するのは全て目視でした。点字プリンターがあることはありましたが、文章をデジタル化したものはあっても、分かちは全て手動で実施する必要があるのであまりスピードアップにはつながりませんでした。

点字は全て「音」で表現します。漢字はありません。よって、文章を表現するときに、独特の表現方法を学ぶ必要があります。
母はははと笑った
を点字で打とうとすると
ハハワ ハハハト ワラッタ
と表記します。これが最近はかなり自動化されていると聞きました。完全に任せる、というのはなかなか難しいのですが、かなりの精度でできるようになってきたのはとてもいいことです。

弱視の児童生徒にはデジタルデータは文字を簡単に拡大できるのがいいですね。フォントも見やすいものが選べますし、黒地に白が見やすいのか、あるいは緑地に白か等その子どもに合った背景の色、文字の色も選べます。フォントとフォントの幅も簡単に変えられますし、コピーを何度もやりなおして…という試行錯誤の時間が格段に減りました。

視野に障害のある児童生徒が見やすい位置にディスプレイを固定できる等、ICT機器はうまく活用していくことで視覚障害を持つ児童生徒の情報活用能力の育成や学習活動の広がりをもたらします。
手引きを参考に、必要な機器がもっと積極的に選べるように、試せるようになるといいですね。

次回は、聴覚に障害のある児童生徒のICTの活用についてお送りします。

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