情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金の重要事項

8月25日に、「公立学校情報機器整備費補助金及び公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金に関する自治体向けFAQ」が更新されました。
今回は、このFAQのうち、

  • 補助の対象になる案件とならない案件
  • GIGAスクールサポーターとICT支援員、ICT教育アドバイザーの違い
  • 来年度以降の予算と、予算の繰越について

の3点について、まとめてみました。特に、来年度以降の予算と、予算の繰越については、注意が必要な点がありますので、ぜひご覧になっていただければと思います。

補助の対象になる案件とならない案件*1

まず、補助の対象となる案件とならない案件について、FAQに記載された例を挙げて解説いたします。

補助対象となるもの

  • 一人1台の端末(上限額は税込み45000円まで)の購入費、リース料
  • 授業で使うのであれば特別教室や体育館の通信設備も補助の対象
  • SIMカード、Wi-fiルータの購入費
  • 機器の購入に係る初期設定費用
  • 遠隔授業に必要なカメラやマイク、その付属品(三脚など)
  • GIGAスクールサポーターの使用する端末のレンタル経費
  • 校内ネットワーク整備事業の事務費
  • 障害のある児童生徒の使用する入出力支援装置
  • 障害のある児童生徒が入出力支援装置を使用するために必要不可欠な物品

補助対象とならないもの

  • 購入費とは別途でかかる有償の保守・補償契約に係る費用
  • 通信費は補助の対象外(生活保護世帯の通信費については、別途の補助金で対応*1
  • 通信機器やカメラ等のリース料、レンタル料
  • カメラやマイク機能があっても、その機能が主でない物品
  • 個人が契約したWi-fiルータ等の通信機器

補助の対象となるものを見てみますと、端末や通信設備といったハードウェアや、それを整備する為に必要な初期費用が対象となっていることがわかります。

一方で、補助の対象とならないものを見てみますと、通信費や保守費用等、GIGAスクール構想実現後にかかる費用が対象外になっています。

このことから、「公立学校情報機器整備費補助金及び公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金」は、あくまでもGIGAスクール構想を実現するために必要な初期費用に対する補助金であり、その後のランニングコストに対する補助金ではないということがわかります。

GIGAスクールサポーターとICT支援員、ICT教育アドバイザーの違い

GIGAスクールサポーターとICT支援員、ICT教育アドバイザーの担当業務は、FAQではそれぞれ以下のようになっています。*1

GIGAスクールサポーター

学校におけるICT環境整備の初期対応について技術的な面から支援、ICT環境整備の設計、工事や納品対応、端末の使用マニュアル(ルール)の作成、教員に対する使用方法の周知などを行う。学校のICT環境整備の初期対応として、新しい端末の周知や整備した端末やネットワークが安定的に稼働するかどうかを確認し、トラブルが起こった際、必要に応じ、学校等に出向き対応するなどの業務を行う。

ICT支援員

日常的なICT活用支援を行うもので、具体的には授業支援、校務支援、環境整備、校内研修を行う。

ICT教育アドバイザー

国が委嘱するアドバイザーが、各教育委員会等に対し、派遣やオンラインで環境整備やICTを活用した指導方法など、教育の情報化全般、授業支援ソフトの選定等、GIGAスクール構想の実現に関連して必要な事項についての助言・支援を行う。

つまり、GIGAスクールサポーターはGIGAスクール導入の初期整備に係る業務を行う、ICT支援員は、実際にICT機器を用いた授業や校務等、運用を現場でサポートする、ICT教育アドバイザーは、GIGAスクール構想の導入・運用の助言、支援をする、ということになります。

ICT支援員がGIGAスクールサポーター業務を行うのに必要なスキルを持っている場合は、両方の職種を兼任していただく事も可能です。(その際には、GIGAスクールサポーターとしての業務とそれにかかる日数や時間、経費を、書面をもって明確にしておくことが必要です)*1

また、GIGAスクールサポーターは、本事業に記載されている全ての業務を必ずしも執り行わなければならないわけではありません。各自治体や学校の実態に応じて、想定される業務内容のうち特定の業務に重点化しても問題ないとのことです*1

そのため、スキルを持っているICT支援員にGIGAスクール構想の初期整備を行ってもらう等、ある程度柔軟な取り組みが可能です。

必要なスキルを持っている人が見つからない場合には、学校ICT化サポート事業者一覧のページにおいて関係事業者の情報が提供されていますので、こちらから必要なスキルと業務領域、地域がマッチした事業者を探すことも可能です。弊社も登録させていただいています。

また、ICT教育アドバイザーの利用については、「ICT活用教育アドバイザー」事務局*2に記載されているヘルプデスクへ、メール・電話等でご連絡いただく事でご活用いただけます。

おすすめは、電話で直接お話しいただくことです。メールだと意図が上手く伝わらない場合があり、マッチングにいたらなかった例があることをお伺いしています。(ICT活用教育アドバイザーの利用に係る費用は文部科学省の予算において支払われるため、原則として相談を行った自治体による費用負担はありません。*1

最後に、来年度以降の予算と、予算の繰越についてご説明いたします。

来年度以降の予算と、予算の繰越について

来年度以降の予算と、予算の繰越について特に注意したい点は以下の点になります。*1

  • 端末整備について、次年度以降の補助は想定していない。
  • 令和2年度予算から補助を受けたい場合には、令和元年度と同様の計画提出等が必要。
  • 申請時点では令和2年度中に業務が終了することが前提となるが、何らかの事情により業務が遅延した場合には、繰越が可能。事業遅延により繰り越しを行う場合については、交付要綱に従い事業遅延報告書の提出等の繰越手続が必要。
  • 令和3年以降の実施になる場合は、長寿命化改修事業など大規模改造事業の中でのみ、全体の上限額の範囲内で整備していただくこととなる。

令和元年度と2年度に全ての児童生徒の一人1台端末や校内ネットワークの整備のための予算を計上している*1為、補助を受けたい場合には令和2年度までに申請を出し、整備を開始する必要があります。

もしも令和3年以降に整備に着手することになると、情報機器整備費補助金からは大規模改造事業の中でのみ、全体の上限額の範囲内の補助しか受けられなくなるという事になりますので、特に注意が必要です。*1(大規模改造事業については、「(2).大規模改造事業に対する国庫補助*3をご参照ください。)

計画を申請した上で事故等の理由で遅延が発生し、令和3年度に整備がずれ込んだ場合には事業遅延報告書の提出等の繰越手続をすることにより予算の繰越が可能です。*1

また、補助を受けるには、少なくとも申請時点で令和2年度中に整備が終了する見込みであることが前提である*1ことからも、自治体様、学校様にはぜひ早期の整備に着手していただければと思います。

GIGAスクール構想の実現に向けて、急ピッチで様々な予算や補助金、制度の策定が進んでおり、その対象も様々です。どのように公立学校情報機器整備費補助金、公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金を活用すれば良いかわからないという自治体様、学校様の一助になることができれば幸いに思います。

<参考資料>

*1 文部科学省 【02.08.25掲載】公立学校情報機器整備費補助金及び公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備費補助金に関する自治体向けFAQ(令和2年8月24日時点) (PDF:219KB) PDF(最終閲覧日2020年9月10日)

*2 ICT活用教育アドバイザー 事務局サイト – OETC (最終閲覧日2020年9月10日)

*3 文部科学省 国庫補助について (最終閲覧日2020年9月10日)

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