児童生徒のネットモラルについて

一人1台端末の導入にあたり、児童生徒一人一人のネットモラルがこれまで以上に大切になります。
今回は、ネットモラルについて、愛知県から出ている「実践!みんなのネットモラル塾」についてご紹介させて頂きます。
ネットモラルテキストにありがちな構成ではなく、非常に吟味され、練られた内容になっています。児童生徒もかなり「自分ごと」としてとらえられるような内容ですので、どのような立場の方も是非ご一読頂ければと思います。

本資料ではネットモラルとして以下の6点が取り上げられています。

  • ネットに公開:個人情報の適切な取り扱い
  • 危険な動画:不適切なコンテンツへのアクセス制限
  • ネット上でのトラブル:ネットコミュニケーションに必要な配慮
  • ゲーム内での課金:ネット課金の注意点
  • 長時間のネット利用:ネットを使う時間・場所のルール
  • 言葉のやりとり:文字でのコミュニケーションの注意点

ここでは一つ一つの項目について、より細かくご説明させて頂きます。

ネットに公開

現在スマートフォン、タブレットで使用されているカメラは指紋まで読み取ることのできる高性能なものもあり、顔や背景がわかりやすい画像や、個人情報の載った情報をアップロードすると、場所や人物が簡単に特定できてしまいます。

ネットにアップロードされた情報は世界中から閲覧可能であり、近年はSNS等ネットでの犯罪も増加傾向にあります。*1そのため、個人が特定できるような情報はアップロードしないように指導することが大切です。

危険な動画

ネットを利用することで、不適切な表現のあるサイトへアクセスしてしまう可能性があります。その誘導は巧妙に隠されていることが多く、児童生徒が誤ってアクセスしてしまう可能性があります。

そんな時に役立つのがフィルタリング設定です。使用する端末にフィルタリングを設定することで、不適切なサイトへのアクセスを遮断できます。

SNSに関する犯罪被害児童の9割以上がフィルタリング設定をしていなかったというデータもあり*1、フィルタリングの重要性の高さがわかります。また、18歳未満が使用する端末へのフィルタリング設定は法律上の義務にもなっています。*2

端末のフィルタリング選択・設定
<参考資料 総務省 インターネットトラブル事例集(2020年版) (最終閲覧日2020年10月22日)>

ネット上でのトラブル

ネットでのコミュニケーションは相手の顔が見えません。
そのため、相手の身に立って、相手がどう思うかを考えてコミュニケーションを取ることや、できるだけ誤解をされるような言い方、表現は避けることが大切です。
また、ネットの向こう側には同じ人間がいることを理解してもらうことも重要です。

ゲーム内の課金

ゲーム等の課金コンテンツは多くの人に課金してもらえるよう様々な工夫がされています。また、お金を使っていることが目に見えません。そのため、児童生徒が親のスマートフォン等を使用して多額の課金をし、後で保護者がそれに気づくという事例も起こっています。*3

スマートフォンに課金ができる保護者クレジットカードの情報は残さない、課金の上限設定や、課金する場合にはプリペイド式のカードを購入してお金を使っていることを実感してもらう等の対策が有効です。

長時間のネット利用

長時間ネットを利用することで、ネット依存、ネット中毒になる恐れがあります。長時間のネット・スマートフォン使用は健康にも悪影響(視力の低下、睡眠不足等)を及ぼします。

そのため、あらかじめスマートフォン、タブレットの利用ルールを決めておくことが望まれます。ルールを決める際には保護者が一方的に決めるのではなく、児童生徒ときちんと話し合い、納得できるルールを決めることが重要です。
また、ルールを破った際にどうするのかを決めておくことも大切です。*4  

言葉のやり取り

言葉のみのコミュニケーションでは相手の顔が見えないため、意図したことと別の伝わり方をしてしまう可能性があり、伝わり方によってはいじめや仲間外れの原因になってしまう場合もありえます。*2

文面を送信する前に、自分の意図がその言葉で伝わるのか、面と向かって同じことを言えるのかをよく考える習慣をつけることや、顔文字などを利用して、相手に自分の意図をわかってもらいやすくする等の方法が有効です。

メッセージアプリでの悪口・仲間外れ
<参考資料 総務省 インターネットトラブル事例集(2020年版)(最終閲覧日2020年10月22日)>

昨今はインターネットを介して子供が犯罪やトラブルに巻き込まれる事例が後を絶ちません。だからと言って、「インターネットを使わせない」はナンセンスです。正しい知識を持ち、発達段階に応じて子供も親も、ネットモラルの重要性を理解することが大切です。

禁止ではなく、うまく付き合っていくにはどうすればいいか、そのためのネットモラル指導の一助となることが出来れば幸いに思います。

<参考資料>

*1 警察庁 平成30年におけるSNSに起因する被害児童の現状(最終閲覧日2020年10月22日)

*2 総務省 インターネットトラブル事例集(2021年版)(最終閲覧日2022年3月7日)

*3 東京都都民安全推進本部 こたエール 相談事例 料金関係(最終閲覧日2020年10月22日)

*4 内閣府 保護者向け普及啓発リーフレット 「ネットの危険からお子様を守るために 今、保護者ができること」(最終閲覧日2020年10月22日)

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