改訂版 全国の学校における働き方改革事例集(令和4年2月)のご紹介4
前回はPart2「文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part2 (PDF:6.8MB) (外部リンク)」について、ご説明させていただきました。
今回紹介する資料「文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) (外部リンク)」には、グループウェアによる業務負担軽減のメリット等が記載されており、 Google Workspace for Education™ 、Microsoft 365 Educationにおけるグループウェアの具体的な活用方法や、そのまま使用することのできるアンケートの雛形等が掲載されています。
グループウェアとは、組織や集団内部での情報のやり取りや、情報・スケジュールの共有を行うことを目的としたソフトウェアです。
今回は紹介する資料の中から活用のメリットや、ICT活用が苦手な先生・行政職の皆様が比較的手を付けやすく、効果が実感しやすいと考えられる取り組みをピックアップしてご紹介いたします。
グループウェア導入のメリット
今回紹介している資料では、グループウェアを導入するメリットとして「情報の最新版を共有できること」「伝達の時間が減ること」「アンケート等の配布、回収、集計の手間を大幅に減らせること」が挙げられています。*1
また情報のやり取りをチャットに残せることや、好きな時間に確認して返事をできることもメリットです。
資料ではグループウェア活用にあたってよくある質問と回答がコラムとして掲載されており、具体的な活用方法や注意点が紹介されています。(下図)
このように便利なグループウェアですが、導入にあたっては少し注意が必要です。
学校がそれぞれ別々に使い始めると、独自の使用文化が生まれて後から統一することが難しくなります。
また学校によって使用しているグループウェアが違うということになった場合、後からソフトウェアの変更が必要になると、学校現場が混乱します。
そのため、普段から大変お忙しいとは存じておりますが、是非行政職の皆様から音頭を取っていただき、自治体内で足並みをそろえてグループウェアの導入をご検討いただければと思います。
それでは、具体的な取り組みをみていきましょう。
予定を全員で共有
会議を設定する際に、全員の予定を合わせるのに苦労した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。グループウェアを活用することで、一人一人の予定を聞いて回らなくても予定や空き時間を共有することができます。*2(下図)
例えば大勢の空き時間を調べて予定を入れる必要がある場合には、まずグループウェアのカレンダー機能を使って全員の空き時間を確認して予定へ登録する、というやり方で手間を減らすことができます。
上記例以外でも、相手の予定があらかじめわかっていればスムーズに情報伝達ができるようになります。相手を探し回る時間等を減らし、円滑に業務を進められるようになります。
双方向性のコミュニケーション
昔ながらの連絡方法に慣れている先生ほど「情報共有はちゃんとできるのか?」「これまで通りの連絡方法の方がみんなちゃんと確認するのではないか?」と心配になるかもしれません。
そんな場合には読んだよ! というリアクションを返す機能を積極的に使用するようにすると安心です。
また資料に掲載されている Google Workspace for Education™ 、Microsoft 365 Educationでは、全体チャットでも特定の人へ連絡したいときに「@名前」のように、@の後に相手の名前を打ち込んでからメッセージを送ることで、誰に読んでもらいたい連絡なのかを明示することができます。(この機能を「メンション」と呼びます。) (下図)
これらを組み合わせて使うことで、ある程度双方向性のコミュニケーションが可能になります。
その場で相手を見つけられなくても情報を伝達することが可能で、空いた時間に連絡があるのかを確認できることも、大きなメリットです。
メッセージは後から遡って調べることができます。そのため大切なメッセージや、何度も確認するような連絡は保存すると便利です。*3
学校と教育委員会間をグループウェアで繋ぐ
双方向性の連絡手段であるのを利用して、教育委員会と学校をグループウェアでつなぎ、お互いが連絡しやすくするという取り組みがあります。
学校と教育委員会の間で連絡や確認したいことがあるけれど、中々都合を合わせることができない、ということがあるかと思います。
そんな時にグループチャット機能を使った文字でのやり取りを導入することで、学校と教育委員会、お互いが時間のあるときに情報のやり取りができるようになります。(下図)
前回まででご紹介してきた成功した働き方改革の例では、学校と教育委員会の距離が近く、互いに連絡がしやすい環境で働き方改革を進めています。
このことから困ったら相談しやすくしたり、教育委員会から情報を伝達したりし易くすることで、働き方改革の成功の可能性が上げられると考えられます。
グループチャットは非常に便利な機能ですが、学校の一存で教育委員会と学校間を繋げることはできません。しっかりと教育委員会に確認をしてグループチャット設置の許可を取る必要がありますので、注意が必要です。
これまでに学校・教育委員会間でグループチャットを設置したことが無いという自治体も多いかと思います。上記のようなメリットを得るためにも、是非自治体主導で設置をご検討いただければと思います。
アンケート機能の活用
学校・教育委員会両方で使えるグループウェアの活用として、アンケート機能が挙げられます。
教育委員会から学校へ、学校から保護者へといった各種のアンケートを自動で回収・集計が出来るようになれば、業務時間を大きく削減できます。*4
とはいえ、どのようにグループウェアの設定等を行えばよいのかわからない先生や行政職の方もいらっしゃるのではないかと思います。
そんな場合のために、すぐに使えるアンケートの雛形が今回紹介している資料で配布されている他、具体的な導入方法が掲載されています。(下図はGoogle フォームの例)
アンケート機能はとても便利ですが、周知なしに学校でいきなり使い始めると、自治体内で機能の使い方を統一できなくなる他、情報管理等の観点からも行政職の皆様がお困りになるかと思います。
また、自治体によっては個人情報保護条例の改正等、とても大掛かりな取り組みとなってきます。
ですが一度使い方を確立すればアンケート機能を学校・教育委員会全体で使用することができるようになり、学校・教育委員会両方で直接的に業務負担を減らせるようになります。
そのため、とても大変な事とは思いますが、是非自治体を挙げて導入をご検討いただければと思います。
特別教室の使用を予約する
Googleカレンダーの利用や、Teamsで作成したチームのチャネルで予定を共有することで、特別教室の最新の予約状況を共有すること等ができるようになります。
今回紹介している資料では予約状況の共有によって、予約もれやダブルブッキングといったトラブルが減少するといった効果が生み出されたことが紹介されています。*5
またどのような手順で特別教室の使用予約を作るのか、具体的な手順が説明されています。(下図はGoogleカレンダーの手順例)
Googleカレンダー、Teamsそれぞれで方法が掲載されておりますので、是非参考にしていただければと思います。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。今回はグループウェア活用の中から比較的技術的なハードルの低く、効果が実感しやすいと考えられる方法をご紹介させていただきました。
上記以外にも様々な活用方法が具体的な手順と共に掲載されておりますので、グループウェアの活用でお困りの行政職の皆様には、是非「文部科学省 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB) (外部リンク)」をご覧になっていただきたいと思います。
次回は技術的に少し進んだグループウェアの活用について、ご説明させていただきます。
引用
*1 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
P148
(最終確認日2022年9月30日)
*2 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
P172
(最終確認日2022年9月30日)
*3 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
P160
(最終確認日2022年9月30日)
*4 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part3 (PDF:7.3MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_4.pdf
P195
(最終確認日2022年9月30日)
*5 改訂版 全国の学校における働き方改革事例集Part1 (PDF:2.8MB)
https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_kouhou01-000020595_2.pdf
P4
(最終確認日2022年9月30日)
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレイン 教育DX推進部所属
教育情報化コーディネータ3級
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