令和の日本型教育とは1
皆さんこんにちは。
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。
この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。
本日は「はじめに」を読んでいきましょう。
この答申は、2019年4月、文部科学大臣から「新しい時代の初等中等教育の在り方について」諮問されたことを受け、出されたとあります。ここで目に付くのは「諮問全体について横断的な審議を行った。」とあることです。初等中等教育分科会に「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」を設置し、更にまた、特別部会においては、教育課程部会、教員養成部会、新しい時代の高等学校 教育 の在り方ワーキンググループや文部科学省に置かれた有識者会議等とも連携したとあります。これまではそれぞれの専門的な内容を話し合う印象が強かったと感じますが、令和の日本型教育は「横断」して、様々な分野が専門性を活かして手を取り合い、より良い教育を実施していく、という姿勢だと読み取れますね。担任の先生が自分の担任の子供を見る、というだけではなく、特別支援学級の先生や、養護教諭、栄養教諭、専門的な外部スタッフ、地域の人、サポートスタッフなどなど多くの人と手を携えて、子どもたちにとってより良い環境を提供していくことが大切だと考えられますね。
答申の議論の間には突然のコロナ禍があり、審議が長期間中断したり、原則オンラインでの開催になるなど大きな環境の変化がありました。会議が「原則オンライン」は、働き方にも改革をもたらしていますね。遠い地方の委員が高い交通費を払って2時間の会議のために上京する必要がなくなったわけです。東京に住んでいる人は会議で半日潰れる、という意識だったはずですが、地方在住の人は下手をすれば2日間潰れたわけです。全部オンラインで、というのはまだ難しいでしょうが、原則オンラインが今後どんどん普及するといいですね。
さて、この答申は、第1部総論と第2部各論から成っている、とあります。総論においては、新学習指導要領の着実な実施が重要である旨が述べられます。急速に変化する社会で、子どもたちの資質・能力をしっかりと育成するために必要だということですね。新学習指導要領では、ICTの活用が大前提として、「個別最適な学び」「協働的な学び」を充実するために様々な具体的な姿が描かれています。それを全国で実施していくことが大切だ、ということです。
各論では、総論で示された改革の方向性を踏まえ、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた具体的な方策等を盛り込んだ、とあります。目的を理解しても、ではどうしたらいいか、ということに対しての具体例が書かれているということですね。
また、本答申の最後には、「令和の日本型学校教育」を実現するための、教員養成・採用・研修の在り方や、学校の自主的・自立的な取組を積極的に支援し、社会の変化に素早く的確に対応するための教育委員会の在り方など、今後更に検討を要する事項を挙げている、とあります。ICT活用が大前提なのに、教員養成段階で一度も電子黒板に触ったことがありません、というのは問題です。小学校教諭の採用試験にはピアノや水泳の実技があるように、ICT機器もそれなりに使える何かが必要でしょう。更に、学生時代はワープロで卒論を書きました、というような先生方に研修は必要不可欠です。
全てをこの答申の通りにすぐに実施するのは難しいかもしれませんが、変わるための具体的方策が書いてあり、背中を後押ししてくれるものだと捉えて読んでいけるといいですね。
次回は第1部総論1.急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力 を読んでいきます。
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