アメリカとオーストラリアのデータ活用です

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm
トップページに重要なお知らせとして掲載される力の入れようです。
のび行く可能性のイメージ

今日は教育ビッグデータの現状・課題と可能性についてご説明させていただきます。

先回はイングランドでした。アメリカでは、初等中等教育は各州の権限なので、個々の州ごとに取り組みが行われていましたが、それでは州の間のデータの比較ができないということで、CEDSと呼ばれるプロジェクトが始まったとのことです。
 そこでは未就学児教育から企業内研修まですべての分野における用語の定義やID体系を整理し、データの標準化が行われたということで、スケールの大きなすごいプロジェクトだったことがわかります。
 欠席の理由は11個の項目が定義されたりしているということで1700を超える用語の定義がされているという、非常に標準化が重要視されている状態だということがわかります。同じ言葉でも違う意味で使うことはよくある話ですね。
 しかも強制力は特になく参考として公開されているだけとありますが、多くのシステムや報告書はこの基準に従っているということです。基準が明確だとその報告書の指していることがより多くの人に伝わりますよね。
 これが教育ビッグデータ分析の基礎として機能しているということです。
 また、相互の比較を可能とするために、数学と英語で共通のカリキュラム標準「Common Core State Standards」が定められているとのことです。各項目のIDのおかげでシステムでの処理やデータ連携が容易になっているということです。
 また、イングランドのMISに似たSISと呼ばれるシステムに子どもの様々なデータを蓄積して活用しているとのことです。このデータ等を活用し、子どもの躓きを分析して適切な教材を提示したり、学力向上のためのヒントが表示されるというサービスが提供されているということです。ほとんどがWebベースで提供されているため、英語圏ならそのままこのサービスを活用している事例も多いということです。
 アメリカの場合、多様な教育を重視しながらも、統一のIDを使ってデータを連携しやすくしているという報告ですね。統一IDはデータベースを少しでも触ったことがある人なら、どれだけ重要なことかわかるかと思います。
 同じような見出しで違うデータだった、ということは日本では起こりがちですが、このような統一IDがあればきちんと比較することもデータを結合することも容易です。

 オーストラリアも州が初等中等教育に責任を持っているとのことです。
 州によりカリキュラムが異なっていた状態を、2013年からオーストラリアンカリキュラムとして統一したとのことです。これらのカリキュラムにはIDが付与され、デジタルで公開されているためデジタル教材と連携を図ったり、教材や授業案の共有に役立っているということです。
 子どもの情報、出欠席や成績、課題の提出状況等の学校で蓄積されたデータは、転校・進学する子どもの情報を次の学校に引き継ぐために活用されたり、州が分析したり、連邦が各州の教育状況を比較するためにも利用されている、ということです。
 データの規格はアメリカの規格をもとに想定されているとのことです。

 アメリカもオーストラリアも、そしてイングランドも、子どもたちのデータを様々に活用し、国の基礎的な資料として重要視していることが読み取れますね。
 日本では知りたいことはまず調査、になってしまい、現場は調査で忙殺されることがあります。
 学校基本調査のような児童生徒数や教職員数のデータは、イングランドのMIS、アメリカのSISのような仕組みを構築すれば、文科省ですぐ取り出せるようになりますね。
 膨大なデータがただそこにある、というだけではデータがないこととほぼ同じです。データは活用し、そのデータを使ってより良い生活を送ることができるように扱うことが重要であると考えます。
 そのためにどうしていけばよいか、日本の教育を良くしていくためにどのようにデータを扱うのかについて、まとめでは詳しく説明されています。
 次回はデータの標準化についてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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