ICT支援員とGIGAスクール構想その1
こんにちは、ICT営業担当のMです。
夏が始まり、これからGIGAスクール構想の動きもどんどん活発化し、導入の早い学校様は既に児童生徒が一人一台のタブレット(PC)を持っている。そんな状況下であると存じます。
そうなると、これから大事になるのは『このタブレットをどう学習に活用するか』だと思います。つまり、ICT支援員の活躍が必要不可欠であるということです。
そこで、今回もY先生にご意見をいただきました。しかし、私はあくまで営業のため、ICT支援員の細かい悩みや意見はわからない部分もあります。
そのため、今回は弊社のITCE1級保持者であるOを交えての対談を行い、それを皆さまにご紹介できればと思っています。全6回に分けて掲載させていただきますので、ぜひ、最後までお付き合いください。
M 先生、今回もよろしくお願いします。今回はICT支援員について伺いたく、弊社ITCE1級のOから何点か相談をさせていただければと思います。
O Y先生、よろしくお願いします。
Y先生 Mさん、Oさんよろしくお願いします。
M さっそくなんですが、Oさん、何か質問や、お聞きしたいことがあればお願いします。
O はい、私達、ICT支援員が現場で先生とのやりとりの際、忙しくてICT機器に触る気力のない、つまり、結果的にやる気のない、という先生もやらざるを得ない状況になってきていると思います。そこで、そんなやる気のない先生をやる気にさせることはできるのでしょうか
Y先生 私、個人でお話しさせていただくとはっきり言って見捨てています(笑)
そもそも、そういう方は先生をやっていてはいけない。
ICT、デジタル化が進む世の中で、大学を出ていきなり先生と呼ばれて自分の価値観が全てである学級王国の中で長年生きている。考え方を変えられない先生というのはある意味歴史上の独裁者と変わらないと考えています。
元のベースがそれなので、そういう先生にとって相手が子供たちであろうと保護者であろうと、それが日本の法律であろうと自分のほうが上位に来る感覚の持ち主なんです。なので私の感覚の中ではそういう方にはやめていただくしかないというのが正直なところなんです。(笑)
M な、なるほど……。
Y先生 ですが、目の前の子供たちを放っておくわけにはいかない。では、実際どうすればよいのか。私がやっているのはとにかくその方と事前に話をすることです。その方がやりたい授業であったり、いつも大事にしていることをとにかく掴んでその方向性で「こうするともっと合理化しませんかね?」と。
「合理的になります!」はもうアウトだと思います(笑)
M たしかに、押し付けられた感がでてきてしまうかもしれません。
Y先生 そして、私が極力気をつけているのが、そんな時はなるべく複数を提示するようにしています。最低でも3つくらい。
「~なんですが合理化するならA、B、Cプランがありますがどうされます?」
というような感じで。他にも私は教職員だからできるのかもしれませんが、”遠隔操作”という方法を使っていたりします。そう呼んでるだけなんですが(笑)
M 遠隔操作ですか?
Y先生 はい。私もどうしてもそういった先生に動いていただかなければならなかったことが何度かあります。何を言っても聞いていただけない時、一番先生を動かせるのは実は子供なんですよ。その学級の子供たちと人間関係をガッツリ作ってその子たちから言っていただく。これが一番確実な方法です。
O なるほど。その学級の子供たちに「先生!パソコン触りたーい!」って言っていただくイメージでしょうか?
Y先生 それだと少し弱いかもしれません。例えば小学校4年生だと警察や消防など、社会の役割で勉強しますが、絵だけだとわからないことが多くあります。そこで、私の場合ですが子供たちに「こないだTVで警察についての番組がやっていてすごくおもしろかったよ」と伝えます。そうすると子供たちは「先生!こないだTVでやってた番組が見たい!」と具体的に言ってくれます。
M たしかにそうなるとその番組についてネットで調べざるを得ないですね。
Y先生 はい。その番組をNHKforSchoolで見られるか調べたり、やってなかったらアーカイブサービスから探したりする必要が出てきます。
そもそも、その先生はICTが無理なので頭ごなしに言っても絶対に聞いてもらえません。なのでこちらはそういった工夫をしていく必要があります。
最近は先生の質が問われています。10年ほど前から初任者指導が入り、強制的に1年間ですがガンガン教育、研修をしています。しかし、その時点でやめてしまう人が増えてきています。
O 良かれと思った研修で脱落してしまう人が増えている、ということですか?
Y先生 教員は事務処理が確かに多いのですが、それを教えるためとしか思えないような膨大な量の事務処理を最初に課す。そうなるとやめていってしまう事例が多くなった。これだと、法定人数に足りなくなるので今度はベースを下げる。こんなやり方では……。
これは国の政策の問題でもあるのですがはっきり言って給料も安いんです。最初の給料なんて十数万ですよ。
M ええ!夢の公務員ですよね!もっと貰っているのかと思っていました。
Y先生 その給料で良い教員が集まるわけないですよね。この環境では若手はどんどん人材の質が下がっていく。ベテランは自分の経験で凝り固まってしまい自分とそれ以外というステレオタイプでの物の考え方になっていきますよね。
自分のいうことを聞く子供は良い子。聞かない子はそうじゃない。そういう見方をする先生が多く、そういう先生にはさっきの遠隔操作も通用しないんですよ。
その先生に「先生!~の動画が見たい!」なんて言ったら、子どもが何を言われるか。子どもの心が危ないですよね。
M たしかに…。怖いですよね。
Y先生 つまり、一般企業が現状やっていることや、このポストコロナで変わっていこうとしている価値観を受け入れることがそもそも無理な人達に対して考えるよりも、目の前の子供たちに対して、「ICTを活用して世界や社会の価値観の一端をどうしたら経験させることができるかな?もちろんその先生のプライドを傷つけずに。」ということを考えた方が絶対に皆のためになると思います。
子供たちは世界や社会の一端を知ることで自分で学び始めるかもしれませんし、先生方は押し付けられないのでICT支援員に対して邪見に扱うこともありません。そして何よりICT支援員の方が嫌な思いをすることもないんじゃないでしょうか。
先生とICT、そしてその架け橋であるICT支援員。このバランスはかなりシビアであること。そして、今回私達だけでなくICTに関わるY先生もご苦労されていることが分かりました。
次回も引き続きY先生にICT支援員について、そして子どもたちへの接し方について伺っていきたいと思います。
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教育の情報化に貢献し,豊かな会社と社会を作ります。
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