ICT支援員とGIGAスクール構想その5
こんにちは、ICT営業担当のMです。今回で全6回中5回目の連載になります。
前回はICT支援員目線の理想の教育現場について弊社ITCE1級保持者のOよりY先生に伺いました。タブレットなどのICT機器を文房具として活用する教育現場、かなり難しいことな気がしていましたが、Y先生の風呂敷理論によって自然にそういった形になっていくというご意見をいただきました。今回もその辺のお話をY先生に伺っていきたいと思います。
M 前回、タブレットを文房具として活用するというOさんの理想の教育現場についてご意見をいただきました。Y先生の風呂敷理論。大変面白かったです。本当に課題が山積みだと思っていましたが、GIGAスクール構想によりOさんの理想の教育現場は既に目の前に来ているんですね。
Y先生 そうですね。タブレットを当たりまえに持つ子どもたちは困らず迷わずどんどんリテラシーが上がっていきます。その際、ICT支援員の方には、以前お話ししましたが、子どもは一番その授業が苦手な子から伸ばしてあげてほしいです。
そして、大人は一番リテラシーの高い人間を徹底的に支援してあげてください。
子どもと大人は真逆なんですよね(笑)
M 本当だ!面白い!
Y先生 なぜなら、大人を変えることは大変ですが、できない子どもが豹変することは普通にあることなので、結果、できない子どもに寄り添うことが風呂敷理論を具現化するのです。目の付け所は真逆ですが大人も子どもも同じ風呂敷理論なんですよ。
M これってビジネスでも絶対使えますよね。
O 先生への対応について、すごくクリアになりました。ありがとうございます。
では、保護者や地域の方々に対してはどうでしょうか。例えば先生が学校のホームページで案内を出しましたが、保護者の方から見られないなどの問い合わせが学校に対して多くあるそうです。先生ではそういった質問への対応は難しく大変困っているとお問合せが数多くあります。保護者や地域の中には「ブラウザって何?」という方もいらっしゃるでしょうし。もう少しICTのリテラシー向上を目指したいところですが学校からのアプローチには限界があると思いますがどのように思われますか?
Y先生 まず、そのパターンだと学校側ができることとしてはURL付きのメールを送信 して、タップもしくはクリックだけでホームページが見られるようにするとかで しょうか。
O はい、それもそうなんですが、例えばそのメールは保護者が受信しますよね。その保護者が家にいない時に受信し、子どもにそのメールを開かせたいという時に子どもはパソコンもスマホも持っていないと、それを学校に「どうすればいい?」と問い合わせるそうなんです。
Y先生 それは(笑)もうたった一言、無理ですと答えるしかないですよね。
M やっぱりそうですよね…。
Y先生 それはもう物理環境ですからね…。だれもどうしようもないですよ。Oさんの 立場から担当されている自治体に助言をするならば、レンタルWi-Fiなどを提案するしかないですよね。今回のコロナ渦の助成金でそういった環境を整えていただくことを提案されてはどうですか?と自治体に助言するとか、そういった案内をDVD化して配布するとか物理的な問題はお金かけるしか方法がないですよね。
M GIGAスクール構想により一人一台端末を持てば先ほどのメール問題は解決しそうなんですが。
Y先生 それだけでは無理です。Wi-Fi環境など電波環境がないところだったら。
M ああ!そうか…。Oさんの知る自治体ではLTEモデルではないんですか?
O はい、Wi-Fiモデルなんです。
Y先生 ですよね。コストが全然違いますから。まぁあと少しだけでやれることがあるとすれば各自治体には避難所やコミュニティセンターがあると思います。そこになんとかしてフリーWi-Fiとまでは言いませんが、子どもたちが困ったときに活用できるアクセスポイントを作ってもらえないか相談するくらいです。そういった施設は必ず徒歩圏内にあるはずですし。
M そういうインフラが整っていない地域に対して電波をカバーするフリースポット的なものを導入するとかTVで見た気がします。
Y先生 そうなんですよ。インフラが整っていないところのほうがこういう動きは速いかもしれません。無線Wi-Fiとかだと電波法とかも考慮しなくてはならなくなりますがね。インフラについては本当に支援員や教員ではやりようがないです。
ですが、実は子どもたちはどこにフリースポットがあるかを知ってたりします。
メールを見に行くだけならコンビニとかでファーストフード店なんかで見ることはできますよね。何年か前だと「あの家からWi-Fi漏れててパスワードなしで使える!」なんて情報網があったりしたみたいですよ(笑)
M 子どものほうが上手に電波をつかってますね(笑)
Y先生 本当にあった話なんですが、とある家の前に小学生が何人も毎日集まっていて その子たちを何とかしてほしいという連絡が学校にあったんです。担任が事実 確認をしたところその家からWi-Fiが出ていてパスワードもかかっていないため 利用するために集まっているということが判明したんです。それは流石にパスワードもかけず電波垂れ流しにしているのが悪いところもあるので、その方に協力をお願いしてパスワードかけていただかないと話が進まないよと指導したことがあります。
M それなら、子ども110番の家みたいにWi-Fi110番みたいな感じで自由に使わせてほしいですよね。あーでも、そういう形になると面白いですよね。セキュリティとかとりあえず置いといて、自治体内で協力し合って、子どもたち専用のWi-Fiスポットボランティア活動。協力していただいた世帯には回線料の半分を自治体が負担します!みたいな。
Y先生 いまもあるかわかりませんが、そういった話はありました。協力してくれれば
無料で回線ひきますよ!とかですね。同じような形で、これは住宅密集地でないと使えませんが、例えば隣の家のWi-Fiを月に500円くらい支払うからこの子のこの端末だけ使わせてもらえませんか?とかですよね。その方に設定できるかわかりませんが、「何時から何時までこのゲストSSID使っていいよ」とか最近のアクセスポイントならできそうですよね。そこまでリテラシーが高い人たちばっかりだと話は簡単なんですが(笑)まぁやれるやれないは別として理論的にはか可能ですよね。
M そういうことってできないんですかね?例えば何々市の市長さんが市で回線料金を負担するので子どもたちの教育環境を提供してあげください!みたいな。
Y先生 市が料金を負担してくれるなら可能かもしれませんね。市がプロキシサーバを立てて市民ネットワーク的なものを導入するとか。ただ、各家庭に回線を引っ張ってこなければならないので、そんな予算があるならLTEモデルにしますよね(笑)
M 確かに。
Y先生 そうやって考えると必要なものというのは端末よりWi-Fi環境だと思います。
端末はそれこそスマホの普及や親せきの古いタブレットをもらうなど用意することはそこまで難しくないし、学校から貸し出すこともできますから。
確かにGIGAスクール構想によりタブレットを子どもたちが一人一台を持つこととなり、これから教育が変わっていくのかと思っていましたが、電波の問題があります。Wi-Fi環境の有無によって教育格差が広がっていく。これをなんとかしなければ文房具として学校で使えても家庭で使うことが難しいです。何よりも課題はそこなのかもしれません。次回はその課題に対する向き合い方とY先生の理想の教育現場について伺いたいと思います。
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