具体的なモデルについて提案されています

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm
ふさわしいハードウェアイメージ
今日は基盤となるICT環境の整備のうち、安価な環境整備に向けた具体的モデルの提示 についてご説明させていただきます。

 まとめの中で、今まで地方自治体による整備が進まなかった理由の一つとして、コスト面の課題が挙げられています。
 学習者用コンピューターについては、安価で一般に普及しているものを時代に併せて更新していくことが望ましく、総コストも下げられる、とあります。
 教育市場における学習者用コンピューターの価格は、店頭価格と隔たりがある、という印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その理由として、様々なものが挙げられますので、「この理由を解決したから一気に安くなる!」というものは残念ながらありません。ですがこのままでは到底子供一人一台の学習者用コンピューターを実現することはできないわけです。
地方自治体が大量に一括調達を行うことが効果的、とまとめにはあります。ですが、ネットワークも違い、使っているソフトも違い、そもそも情報セキュリティポリシーが違う、という自治体間での大量一括購入というのはとても難しく、削減されたコストとそのために発生するコストを考えると、あまり現実的ではないように感じます。
そのため、学習者用コンピューターのコストを下げると同時に、大型提示装置等のそれに付随する機器、ソフトウェアのコストも下げていく必要がありますね。
そのためのモデル例が、まとめの29P~30Pに掲載されています。
このようなモデル例を出すには文科省は相当苦労したはずです。書いてあるスペックのものを取り扱っているメーカーが有利になるわけですから、あまり細かいところまでは書けない、でもあまりにおおざっぱではモデル例の意味がない、ということで、苦心の跡が見られます。

大型提示装置については

  • ・最後方の子どもの視認性を確保
  • ・装置の落下に対する安全性
  • ・教師が手軽に使える容易さ

が挙げられています。

学習者用コンピューターについては、機能として最低限

  • ・起動、スリープからの復帰が15秒程度以内
  • ・バッテリー駆動 カタログ値6~8時間以上
  • ・1.5㎏未満の軽量なもの
  • ・無線LAN接続機能
  • ・9~14インチ程度の画面の大きさ(可能なら11~13インチ)
  • ・ノートが他パソコンあるいはタブレット型パソコン
  • ・小学校中学年以上ではハードウェアキーボード必須
  • ・片側カメラ機能
  • ・音声出力端子
  • ・外部接続端子
  • ・メーカーによってサポートされているOS

以上の点が挙げられています。以下の点は必須ではないですが、明確に利用する目的があり、経費が十分措置されているのであれば検討してもよい点ということです。

  • ・耐衝撃機能
  • ・防水・防塵機能
  • ・ペン機能
  • ・SD、MicroSD端子
  • ・CD、DVDドライブ
  • ・両側カメラ

また、補償については

  • ・原則1年
  • ・センドバック方式
  • ・故障率を考慮した予備の常備

が挙げられています。さらっと続いていますが

  • ・端末管理、アカウント管理が可能であることが望ましい

とあげられています。クラウドを使うためにはアカウント管理が必須になるため、ここであげられていると考えられます。

通信ネットワークについては
「第三者の評価等も得ながら、誰もが理解できるシンプルなものとするとともに、ネットワーク機器等の性能も十分考慮したうえで、よりボトルネックの少ないものとすることが必要」とあります。
ネットワークは回線速度だけ良いものを契約しても、その途上にある通信機器の性能にも大きく左右されます。SINETへの接続も紹介していましたが、これは「将来の選択肢の一つ」であると書かれています。
安価で高速な通信が継続的に担保できる見通しが必要だとありますが、過渡期に未来を見据えて選択していくのはとても難しいことですね。
ただし、「ネットワークがつながっている」という状態は、今後「水道をひねれば水が出ます」と同じ程度のインフラとして考えられるようになっていくと思われます。
何がどうなるのが良いのか、正解を知っている人はおそらく一人もいませんので、現時点での知恵を絞って、考える必要があります。その知恵を絞るために、「学校におけるネットワークの知識を持った専門家」のリストが欲しい!と思うところではあります。そうも言っていられませんので、先進的な自治体や、信頼できる繋がりからの紹介はとても参考になると思います。ぜひ、聞いてみてください。

学習用ツールを含めたソフトウェアについても言及されています。
パソコンを使って効果的な学習を行うためにはソフトウェアが欠かせません。
必要最低限のツールとして

  • ・ワープロソフト
  • ・表計算ソフト
  • ・プレゼンテーションソフト

が挙げられています。
 重要なことは

  • ・端末、ソフトウェア、通信ネットワークを複合的に勘案して、すべてがストレスなく稼働するかを見極めて仕様を決定すること

 とあります。例えば、電子黒板で本格的に拡大すれば、蝶の鱗粉まで鮮明に見えます!というウリのソフトウェアは学習効果が非常に高いものですが、ネットワーク越しに全校で利用するとなると、おそらく無線環境では操作性に非常にストレスがかかります。実際に使う方法を考え、その時にストレスができるだけ少ないものを選定しないと、せっかく導入しても使われない、ということが発生するわけですね。
ここでもクラウドコンピューティングが優位であると紹介されていますが、実際に使う環境で試すことを強く推奨します。

最後は従来の学習者用サーバーの代替として教育クラウドが紹介されています。
 「当面各学校1台分のサーバーの設置を前提」としている文科省ですが、パブリッククラウドの積極的な活用を進める、とあります。教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン の改訂が待たれるところですね。

 次回は関係者の意識の共有と専門性をもった人材の育成・確保のための取組の推進ついてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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