ICT環境整備目標を首を長くして待っています
皆さんこんにちは。
教育の情報化加速化プラン3-1①に「ICT環境整備の目標の考え方」という項目があります。
すべての項目の中で最初に述べられているこれは
「教員自身が授業内容や子供の姿に応じて自在にICTを活用しながら授業設計を行えるようにする」観点から、次期学習指導要領に向けた中央教育審議会における議論や学校現場の現状等も踏まえながら、第3期教育振興基本計画に向けた具体的なICT環境整備目標について、検討する。【速やかに検討体制を整備し平成28年度内を目標に検討・結論】」
とあります。
既にtwitterでも何度もお知らせしているように「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」が平成28年度中に5回開催されています。
論点を明確にし、具体的な指針についての検討がスピード感をもって行われていることが議事録・公開資料から読み取れます。
もうすぐICT環境整備目標が公表されることかと思いますが、それに先立ち、
学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議(第5回) 配付資料http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/037/shiryo/1384303.htm で公開された
ICT環境及びその機能について の論点メモ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/037/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/04/18/1384303_04.pdf で示された論点についてご説明させていただければと思います
この資料ではICT機器を
- 1 主に教員によって活用されるICT
- 大型提示装置
- 書画カメラ
- 2 主に児童生徒によって活用されるICT
- 教育用コンピュータ
- ネットワーク
- ソフトウェア
に分けて考えています
大型提示装置についてはまず
「第2期教育振興基本計画で提示された普通教室に1台が妥当かどうか」(現状整備率21.9%)の論点があります。
(大型提示装置について詳しくご説明しているのはこちらhttp://ict-help.jp/pic2.html#denkokuになりますのでご参考いただければと思います)
この目標を維持すべきか、それとも学校主・学年別に整備の優先順位を考えるかどうか についても意見が出されています。
ところで行政職の皆さんは、仮に大型提示装置を学年別に優先的に整備する、となると何年生が必要だと思われますか?
小学校で考えると、1年生から6年生まであるわけですが、私は優先をつけなければならないのならまず1年生からだと考えます。
言葉での指示が難しい、字を読んで理解するのが難しい子どもたちには「大きく実物を見せる」という手法は非常に有効です。例えば、お道具箱に「固形のり、液体のり、はさみ、色鉛筆をけがをしないように取り出しやすいように入れましょう」という指示を出すとします。
- 1 言葉だけでの指示
- 2 実物を見せながらの指示
- 3 お道具箱の中身を大きく映し出しての指示
のどれが伝わりやすいでしょうか?
お道具箱の中身なんて千差万別でいいではないか、と思われる方も多いと思います。
ただ、学習指導要領についてきちんと全部教えるためには可能な限り学習・授業に時間を取りたいのが現場としての本音です。
固形のりを探して出すのに5分かかるのと30秒で全員取り出せるのとでは授業の効率が全く違います。
たった4分程度、という風に思われる方もいらっしゃるかもしれません。時間で言えばこれだけですが、固形のりをそろえるのに5分かかる授業は、その他何をするにしてもものすごく時間がかかり、進まないことが往々にしてあります。
そのため、ご自分の自治体での実態を見るために、導入されている学校へ見に行かれることをお勧めします。
このように大型提示装置は「全国の学校」でどこまでの機能を「標準として」求めることが適当なのか、学校現場での活用実態も踏まえつつ検討されています。
続いて実物投影機です。
(実物投影機について詳しくご説明しているのはこちらhttp://ict-help.jp/pic2.html#denkokuになりますのでご参考いただければと思います)
小学校では半数以上の普通教室に1台導入されており、1校当たり平均7.1台整備されています。
それが、中学校では1/3の普通教室、高等学校になると1/5の普通教室になります。
それを踏まえ、「カメラ付きタブレットPC」の普及も進んでいる中で学校種を問わず普通教室1教室に1台「実物投影機」を入れるという目標が妥当かどうかの検討が行われています。
実物投影機の便利な点は「両手を離しても映し続けられている」点です。
そのため、小学校のノート指導などに非常に効果を発揮します。
実際に書かれたノートを置いて映しながら赤ペンでそのノートに書き込み、優れた点を説明する、というような活用はカメラ付きタブレットPCでは難しいですね。
一方メダカのオスとメスを大きく映して見分けよう、というような場面ではカメラ付きタブレットPCで泳いでいるメダカをそれぞれいろいろな角度から撮影し、大きく手元で見る、という使い方の方がわかりやすそうです。
これらの活用実態も踏まえつつ、どこまでの機能を標準として求めることが適当か議論になっています。
次回は、主に児童生徒によって活用されるICTの教育用コンピュータについてご説明します。
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