教育振興基本計画18
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策
(目標、基本施策及び指標)
目標1
確かな学力の育成、幅広い知識と教養・専門的能力・職業実践力の育成
目標1についての説明が冒頭あります。今まで何度も確認してきたことなので、詳細は割愛しますが、特に「初等中等教育段階においては、同一年齢・同一内容の学習を前提とした教育の在り方に過度にとらわれず、多様な個々の状況に応じた学びの実現を目指す」というところが印象的です。
基本施策が10個述べられ、それぞれどのようにしていくか説明があります。今まで出てきたことをより詳細に述べている、という感じですね。ここで使われる文言を、現在大切に考えているということがわかります。
- 個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実
- 新しい時代に求められる資質・能力を育む学習指導要領の実施
- 幼児教育の質の向上
- 高等学校教育改革
- 全国学力・学習状況調査の実施・分析・活用
- 大学入学者選抜改革
- 学修者本位の教育の推進
- 文理横断・文理融合教育の推進
- キャリア教育・職業教育の充実
- 学校段階間・学校と社会の接続の推進
さらに、これらの説明が実現できているかどうかを図る指標が述べられています。内容が多岐にわたっていますから、指標も多岐にわたっているのですが、見てみましょう。
- 知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD の PISA において、科学的リテラシー及び数学的リテラシーについては引き続き世界トップレベルたる現状の水準を維持し、読解力については同水準への到達を目指す。また、TIMSS においては、引き続き現状の水準の維持・向上を図る。
- 「授業の内容がよく分かる」と思う児童生徒の割合の増加(小6:国語・算数、中3:国語・数学)
- 「勉強は好き」と思う児童生徒の割合の増加(小6:国語・算数、中3:国語・数学)
- 将来の夢や目標を持っている児童生徒の割合の増加
- 全国学力・学習状況調査の結果を分析し、具体的な教育指導の改善に活用した学校の割合の増加
- 調査対象学年の児童生徒に対して、前年度までに、授業において、児童生徒自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動を取り入れた学校の割合の増加
- 幼稚園・幼保連携型認定こども園・保育所の教育・保育全体における小学校との接続状況(ステップ0~4)の改善
- 公立の高等学校におけるスクールミッション・スクールポリシーを高校教育改革に活用している都道府県数の増加
- 高等学校にコーディネーターを配置する都道府県・指定都市の増加
- 普通科以外の普通教育を主とする学科を設置又は設置を計画している高等学校数の増加
- 高校生の授業外学習時間の充実
- 大学生の授業外学修時間の充実
- 大学と企業等とで連携して実施する、企業の課題解決や製品開発等を題材とした授業科目の開設(PBL の実施) を行う大学の割合の増加
- 主専攻・副専攻制を導入する大学の割合の増加
- 4学期制を採用する大学の割合の増加
- 課程を通じた学生の学修成果の把握を行っている大学の割合の増加
- 教育研究活動等の改善等の観点から、就職先等の進路先から卒業生の評価を聞く機会を設けている大学の割合の増加
- 職業実践専門課程の認定校数の増加
- 職業実践力育成プログラム(BP)の認定課程数の増加
どれくらい増加するか、ということについては明記されていませんので、とにかく増加することが大切だと考えられている事柄が上記です。たくさんあります。一番最初にPISAやTIMSSの話題があるということは、やはり、国際的な視野を持つ必要があり、今後の教育はますますグローバルになっていくということが示唆されていると思います。「読解力」について、先回の結果がかなりショッキングなことであったと思われますので、それがGIGAスクール構想を経てどう変化しているかは注視していく必要がありますね。
来週は教育振興基本計画Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策の(目標、基本施策及び指標)の続きを読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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