教育振興基本計画30
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策
(目標、基本施策及び指標)
目標13 経済的状況、地理的条件によらない質の高い学びの確保
文字通り、どのような環境の子どもも、だれ一人取り残さない、質の高い学びを確保できるようにする、ということですね。
何度か書いてきましたように、私は、まだ橋がかかっていない四国で生まれ育ちましたので、本州に行くためには船で時間をかけて行くか、飛行機に乗るか、というような状況でした。気軽に学校帰りに観劇したり、美術館に行ったり、スポーツの試合を見たり、コンサートに行ったり、そういうことはほとんどできない状況でした。田舎で交通が不便、というのは当時「実際に見る・行く」という選択肢が大幅に少なかったことを意味します。
今ではバーチャルで経験できることがずいぶん増えました。私の祖父母の世代の「ラジオが聞けるようになった」や父母世代の「テレビが見られるようになった」からどんどん進化しています。
だからこそ、この、進化した様々な学びを得るチャンスを、どんな子どもにも経験してほしいなと思います。
施策は以下の3点です。
- 教育費負担の軽減に向けた経済的支援
- へき地や過疎地域等における学びの支援
- 災害時における学びの支援
何はともあれ、お金が必要ですから、経済的支援は重要ですね。指標は以下の通りです。
- 全世帯と生活保護世帯の子供の高等学校等進学率の差の改善
- 住民税非課税世帯、生活保護世帯、ひとり親家庭及び児童養護施設等の子供の大学等進学率の改善
- 1年間の経済的理由による高等学校の中退者数の減少
- 全学生数等に占める1年間の経済的理由による、大学等の中退者数の割合の減少
- 大学間連携に取り組む大学数の増加(再掲)
- ICT 機器を使って児童生徒が学校外の施設(他の学校や社会教育施設、民間企業等)にいる人々とやりとりする取組の増加
- 高等学校における学びの質向上のための遠隔授業(教科・科目充実型)によって行われる実施科目数の増加
中退者の減少、というのが指標になっているのは、それだけ経済的理由による中退者が目立つからですよね。
来週は教育振興基本計画Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策の(目標、基本施策及び指標)の続きを読んでいきます。
投稿者プロフィール
-
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
最新の投稿
- HBI通信2024年11月18日教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月)24
- HBI通信2024年11月11日教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月)23
- HBI通信2024年10月28日教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月)22
- HBI通信2024年10月21日教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月)21