教育振興基本計画6
皆さんこんにちは。
令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。
そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。
特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。
本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。
Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針
(5つの基本的な方針)
基本的な方針が5つ挙げられています。それぞれ詳しく読んでいきますが、最初に全体を確認しておきましょう。
- グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
- 誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
- 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
- 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 計画の実効性確保のための基盤整備・対話
それぞれの方針にが詳しく説明されています。1つずつ見ていきましょう。
グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
(社会の持続的な発展に向けて)
大前提として、「持続的な発展」をする社会が必要である、ということがあります。持続的な発展とは、大まかに言うと経済成長をして、みんながお金持ちになっていこうという考え方ですね。こういうと、「お金より大事なことがある」という意見が出てきます。お金より大事なことはありますが、お金があれば大抵のことは解決できます。無いよりあった方が良い、人類共通の価値観であるということを前提にお話ししていきます。
計画には「少子化・人口減少が著しく進展する我が国がこれからも活力あふれる社会として持続していくため、質の高い教育により一人一人の生産性や創造性を一段と伸長させていくことが急務」とあります。
人は力であり、人口が多ければ多いほど様々なことができます。日本は少子化・人口減少がこれからどんどん加速していくため、質の高い教育が必要であるといっています。
(主体的に社会の形成に参画する態度の育成と価値創造の志向)
日本の子どもたちは「社会の形成に主体的に参画する意識が低いことが指摘」されているとあります。
子どもたちに限らず、社会の形成に主体的に参画しようとする意識を持つ人は少ないのではないでしょうか。それでは、「社会の持続的発展」は望めない、ということで、計画では「社会の持続的な発展を生み出す人材を養成するためには、自らが社会を形成する一員であり、合意形成を経て自らルールや仕組みを作ることができる存在であるという認識を持つことが重要」とあります。
さらに、「その時代において将来を見通したときに求められる分野の人材を養成することが必要」ともあります。具体例として挙げられているのは脱酸素、デジタル関連の人材です。将来を見通す、としてもこれはずっと言われてきたものなのである意味不易なのかもしれません。見通すことができる将来があるのなら、その人材に力を入れることもいいですし、どのようなことが役に立つのかはわかりませんから、いろいろな学びの機会を確保することも絶対に大切です。
「個々の専門知のみによる課題解決が困難」になるので、「総合知」つまり「多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと。」が重要になってくるということですね。
(主体的・対話的で深い学び、アクティブ・ラーニング、大学教育の質保証)
「令和の日本型学校教育」答申で「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を行っていくことは、社会の持続的な発展を生み出す人材養成において不可欠、と述べられています。今までの授業から改善を実施することはずっと求められています。教育を通してどのような人になってほしいか、という社会の要請が変わっているのですから、教育にも変化が必要だということですね。
高等教育機関では「学修者本位の教育」が求められています。大学の教員は特に教員免許がなくてもなれますが、「教育」ということを理解し、学修者が「自己の主体性を軸にした学びに向かう一人一人の能力や態度を育むという視点をもって、教育課程の編成・実施や質保証の取組を行う」ことが必要です。
(グローバル人材育成)
「地球規模の諸課題を自らに関わる問題として捉え、世界を舞台に国際的なルール形成をリードしたり、社会経済的な課題解決に参画したりするグローバル・リーダーや、グローバルな視点を持って地域社会の活性化を担う人材の育成」とすごいことが書かれています。身近な地域の社会的参画についてももっと必要だと言っていますが身近な地域を飛び越えてグローバルな世界ということです。それに加えて、ESDの観点も必要だということで次項が述べられています。
(持続可能な社会の創り手の育成に貢献する ESD(持続可能な開発のための教育)の推進)
「ESD の推進はグローバル人材の育成にも資する取組であり、多くの児童生徒学生等がグローバルな環境を体験する機会を与えられることが求められる。」とあります。
書いていることは本当にそれぞれもっともなことで、どの内容も大切なことです。それを実行するためのリソースの何が足りないのか、どこを手当てすれば進むのか、確認しながら進めることが重要です。
この項目にはまだまだ中見出しが続きます。来週は教育振興基本計画の続き、グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成について読んでいきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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