教育振興基本計画4

皆さんこんにちは。

令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。

そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。

特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。

本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。

Ⅱ.今後の教育政策に関する基本的な方針

総括的な基本方針・コンセプト

2040年以降の社会を見据えた教育を考える基礎としての基本的な方針がまず書かれています。

2点あげられていますので、それを見てみましょう。

  • 持続可能な社会の創り手の育成
  • 日本社会に根差したウェルビーイングの向上

これらは「両者は今後我が国が目指すべき社会及び個人の在り様として重要な概念」として位置づけられています。

持続可能な社会というのは誰かが作ってくれるものではありません。これからの未来を担う子どもたちが作っていくものです。目の前30㎝の利益を搾取する、ということに気が付かない、あるいは気が付かないふりをして「自分たちは先に死ぬからあとはよろしく」という態度では困るということですね。

また、日本社会に根差したウェルビーイング、という言葉は耳慣れない言葉です。教育振興基本計画のページでも特に解説されています。

内田由紀子・中央教育審議会委員「計画ポイント解説~ウェルビーイング編~」

どうしてサムネイルがピンクなのだろうというのは疑問に思いますが、大まかに言えば「誰もが良い人生を送る」という概念だと言えそうです。

この二つの概念を「相互循環的な実現に向けた取組が進められるよう教育政策を講じていくことが必要である。」と述べられています。

(1)2040 年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成

持続可能な社会、というのを考えた時に、ここでは「将来にわたって財政や社会保障などの社会制度」と述べられています。

また、「不可欠なのは「人」の力であり、「人への投資」を通じて社会の持続的な発展を生み出す人材を育成していかなければならない。」ともあります。これらは日本人の価値観の重大な転換点になってくると考えられます。

特に、先生の働き方は、「先生がちょっと頑張ればいいでしょ」とあれもこれもそれも何もかも学校が背負い、抱えきれないほどの負担となって先生を大変にさせています。人がちょっと頑張ればいい、ということにこれまで甘え、搾取してきたという認識を多くの人が持てば、変わっていけるのではないかと考えます。

私が就職したころは、サービス残業など当たり前、労働基準法は守られない法律なのかと絶望していましたが、今では労働基準法を守ろうとする人の方が多いように感じます。明日突然変わることはないでしょうけれど、未来には、今学んでいる子供たちが大人になるころには、もっと人への投資が適切になされ、人が楽しく学び、働ける環境にしていきたいと考えます。

グローバルにつながるであろう未来のために、計画にも記載されているように「多様な価値観」に基づいて、個々人が自立して自らの個性・能力を伸長するような環境を作るご支援をしていきます。

来週は教育振興基本計画の続き、日本社会に根差したウェルビーイングの向上について読んでいきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。