統合型校務支援システム導入時の留意事項は先人の知恵満載です

皆さんこんにちは

プログラミング教育の手引きで中断しておりましたが、今回からは働き方改革で話題の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」についてご説明をさせていただきます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm

少しずつの積み重ねが大きな力になるイメージ

今回は第3章 統合型校務支援システムの導入時の留意事項と課題についてご説明いたします。

まず冒頭に述べられているのは、「規則等の改正」です。指導要録等を電子化するにあたり、各種規則を改正する必要が出る自治体がほとんどだと思います。
大阪市の例が述べられています。
大阪市の例
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第3章P60から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf

これに伴い、学校情報セキュリティポリシーの策定や改正も必要になってきます。今まで紙で保存していた文書を電子で取り扱うとなると、「外部記録媒体へ書き込む場合の決まり」等細かいところを詰める必要がありますね。
教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/18/1397369.pdf とのかかわりについては後ほど出てくるので是非参考にしていただければと思います。

次に「個人情報保護審議会」への対応があげられています。児童生徒の個人情報をシステムで扱うこととなりますので、個人情報をシステムで扱うことが、各自治体で定める個人情報の保護に関する条例のコンピュータ処理に関連する条項に該当するため、各自治体の個人情報保護審議会に個人情報をシステムで扱うことにより児童生徒の権利利益を侵害する恐れがないかについて諮問し、認められる必要がある、とあります。
知らなかった、では済まされないものになりますので、この手順は必ず踏んでおく必要があります。
まず、審議会で説明する内容が表にまとめられています。
審議会で話す内容

統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第3章P62から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf

審議会の委員は、「校務支援システム」について深く理解している人ばかりとは限りません。わかりやすく説明するために、項目をよく検討して、疑問点には答えられるようにしておく必要があります。
また、その審議のポイントとしては

  • ・なぜ個人情報を扱う必要があるのか
  • ・扱う上での対策は万全か

に答えられる必要があります。
コンピュータ処理についての記載としては以下のものがあげられています。安全対策は特に念入りに説明をする必要がありますね。
コンピュータに関する記載

統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第3章P63から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf

教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインとの関係性については、
サーバー等の設置、保守管理、配線や電源等による物理的対策
教職員等が情報資産を適切に使用するための人的対策
についても言及がありますが、この手引きで特に取り上げられているのは技術的対策としての

  • ・学校が保有する機微情報に対するセキュリティ強化
  • ・学校単位で機微情報を管理するリスクの低減
  • ・教職員による人的な機微情報漏洩リスクの最小化

です。
鳥取県の対応事例が例として載っているので参考にしていただければと思います。
鳥取県の事例
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第3章P64から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf

最後に統合型校務支援システムに関する全般的な課題と今後に向けて、ということで現状の大きな課題が2つ挙げられています。

  • ・すべての統合型校務支援システムが必ずしも「使いやすい、操作がしやすい」ものとなっているわけではない
  • ・教職員の出退勤管理や給食費徴収管理などについて、統合型校務支援システムではなく他のシステムを併用している事例があるため、今後はこれらのシステムに加え、学習系のシステム、高校のシステムとの連携なども視野に入れた「統合」が期待される

ということです。システム化、というとすべてのものを1つの統合型校務支援システムでできることが理想だと思いますが、現状なかなかその通りにはいっていないということが読み取れますね。自治体によって「校務」として取り扱う範囲が違い、そのまま汎用システムを当てはめることができないという状態になっているわけです。
そのため、積極的に現場の意見をあちらこちらに伝える必要があります。導入後の要望は、予算がつかずに実現されないかもしれませんが、伝え続けることが重要です。「言っても変わらない」というのは一面の真実ではありますが、言わなければ伝わらないので、変わることもありません。
今の統合型校務支援システムはずいぶん使いやすいものが出てくるようになりました。それは、先人たちの要望を業者が実現するために努力してきたからだと思います。
できること、できないことはもちろんありますが、現場の意見がより良いシステムを作ることは間違いありません。

ここまでで第1部が終了となります。
第2部は、共同調達、共同利用等を実施する場合の説明となっています。

次回は第2部第4章をご説明させていただければと思います。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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