教育ICTガイドブックのご紹介その5 三重県三雲中学校の実践は7年目を迎えています
皆さんこんにちは。
総務省先導的教育システム実証事業 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/sendou.htmlに公開された、「教育ICTガイドブックver1」(リンク先PDF:約22MB) http://www.soumu.go.jp/main_content/000492552.pdfの内容をご一緒に確認させて頂きたいと思います。
この資料は、40の事例の「事例編」と、クラウドのすゝめである「手順編」で構成されています。
事例は丁寧に書かれており、とても参考となるものばかりですので、どうぞお付き合いください。
事例4つめは、「7年目を迎え、進化を続ける1人1台タブレット活用」(三重県松坂市三雲中学校 松阪市教育委員会https://www.city.matsusaka.mie.jp/life/3/14/65/)です。
三雲中学校と言えば日本で初めてApple社のApple Distinguished School 2014-2016に選ばれるなど、その実践は非常に有名ですね。
2011年から一人1台タブレットに取り組み、すっかり授業になじんでいる様子が報告書からもうかがえます。
三雲中学の実践発表を聞いた際に、一番印象に残っているのは「ノートだと自分のものだという意識が強く、書いた意見を見せ合え、と言っても見せ合わない。ところがタブレットだとパブリックなのか、すんなり意見を見せ合う。子どもたちの対話が深まり、思わぬところでタブレットの効果を実感した」と仰っていたところです。
日常的にタブレットを使っているうえでのお言葉だなと非常に感心しました。
報告書には、学習効果を生徒が実感した活用シーンとして、
- 1 撮る
- 2 書く
- 3 見る
- 4 見せる
- 5 送受信する
- 6 拡大する
とあります。生徒がこれだけのことを実感していることからも授業に溶け込んで使っている様子がうかがえます。
全国学力学習状況調査におけるB問題の得点での向上や、生徒のディスカッションスキルの向上など、目に見える数字としてもICTの効果が表れているというのは素晴らしいことですね。
B問題は主に活用に関する問題で、記述式の解答となっています。
その得点が向上した、ということはまさしく「情報活用能力」が上がっているといえると思います。
問題文の意図を読み取り、それに対する情報を集め、解釈し、わかりやすく記載する、という能力は一朝一夕には身につきません。普段の学習活動から地道に行っていく必要があります。
また、ディスカッションスキルも「ディスカッションスキル尺度」という数値で明らかに向上しているというデータが公表されています。
ICTを使ったからディスカッションスキルが上がった、というとなんだか本当かな、という意識が働くものですが、
ICTを活用する
→例えばタブレットに意見を書き込む
→タブレットなら意見を公にするのにあまり抵抗がない
→みんなの多様な意見がいつも発表される
→多面的な考え方が身につく
→説明している友人の工夫をいつも聞く
→自分も工夫する
→説明スキルが上がる
→ディスカッションへの抵抗が少なくなる
→ディスカッションを重ねて相手の意見の尊重ができるようになる
という風に考えると非常に納得のいくものです。
三雲中学校の今後の動向にも目が離せません。全国で様々な先進的な自治体、学校が行っている実践を共有し、導入する際のハードルを少しでも低くするこの試みはとてもありがたいことです。
報告書がどの自治体でもそのまま実践できるとは限りませんが、どのようなことが起きるのかシミュレーションできる範囲でできることはとても説得力が増しますね。
皆さんの自治体も一歩を踏み出すために、何をどうしたらよいか、というところからご支援させていただければと思います。ご遠慮なくお問合せください。
次回も事例のご紹介を続けていきます。
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株式会社ハイパーブレインです。
教育の情報化に貢献し,豊かな会社と社会を作ります。
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