令和の日本型教育とは40

皆さんこんにちは。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

本日は第5部「増加する外国人児童生徒等への教育の在り方について」の続きを読んでいきます。

教師等の指導力の向上,支援環境の改善

教師のアップデートはどのような施策を進めるにしても絶対に必要です。常に学び続ける職業であることは間違いありません。

ただ、それを学ぶ機会については整備が必要です。とても大変な思いをして学ぶ、ということは普及にとっての阻害要因です。答申では文部科学省が開発した「外国人児童生徒等教育を担う教師等の養成・研修モデルプログラム」の活用を謳っています。(258ページに及ぶ報告書です)

教員養成段階でも学びの場を提供することや、履修証明等の活用も述べられています。

日本語能力を評価し、その能力に応じた適切な指導を行うため、「外国人児童生徒のための JSL対話型アセスメント DLA」の活用を促しています。

答申等で推奨される場合、大概「既に文部科学省はそれらについて通知を出している・参考例を出している・ガイドラインを出している・資料を提供している」状態にあります。

ただ、それらが「ある」ことを知らないと見つけることもできませんね。そのため、このように答申で提言する際にはそれらが「ある」から活用する、ということも併せて伝えていると考えてください。

外国人児童生徒等に対する特別な配慮等についても言及があります。「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」を活用するように述べられていますが、現在最新のデータは2020年に公開された平成30年度のものです。現状は大幅に変わっていることも考えられますので、活用の際には最新のデータをご確認ください。

就学状況の把握、就学促進

すべての外国人の子どもがいずれかの教育機関に就学することが目標、と答申では述べています。

例えば夜間中学校への受け入れ等各地方公共団体の取り組みが進むよう、制度の在り方の検討について言及されています。

筆者がPTA役員をしていたときに同じく役員をしていた人は、ブラジルから来日し、夜間中学に通って日本語検定2級を取った苦労を笑って話してくれました。より簡単に使える制度が広がれば、様々な場面での外国人児童生徒、彼らが大人になった後の活躍が期待されます。

中学生・高校生の進学・キャリア支援の充実

答申では就学促進等の指針を踏まえ、「外国人生徒等が在籍する 全ての都道府県で 公立高等学校入学者選抜においてこれら 生徒等を対象とした 特別の配慮 例えば ,試験問題の漢字への ルビ振り,辞書の持ち込み,特別定員枠の設定 等 が講じられることを目指し」とあります。

教育委員会・学校が関係機関と連携して、高騰が校における日本語指導等の体制構築などの取り組みが進められることが重要である、とあります。

これらを実施するための予算措置が重要になってきますね。

異文化理解、母語・母文化支援、幼児に対する支援

答申では後ろの方にありますが、とても重要な観点です。「 日本人を含む 全ての児童生徒等が 我が国の言語や文化に加えて多様な言語や文化,価値観について理解し,互いを尊重しながら学び合い,異文化理解や多文化共生の考え方が根付くような取組を進めることが重要である」とあります。

何度か書いていますが、筆者の子ども二人を「家に一番近い」保育園にお願いしたら、そこはほぼ外国人児童生徒ばかりで、乳児クラスの時には日本人が二人、他は多種多様な国の外国人だった、という状況がありました。

言語は一貫して日本語でしたが、肌の色や目の色、髪の色が違う、価値観も違う、という集団で「違うことが当たり前」の環境で育った子どもたちは、私の田舎の因習にとらわれた古い価値観をどんどん壊してくれました。

これはとても貴重な学びだと私自身が強く思っています。

これからの子どもたちは世界を相手に世界で暮らしていく社会に生きるでしょう。そんな時に、相手を理解する方法を小さな頃から身に付けておくことができるというのはとても重要な観点ではないでしょうか。

次回は第6部「遠隔・オンライン教育を含む ICT を活用した学びの在り方について」を読んでいきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。