令和の日本型教育とは47
皆さんこんにちは。
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。
この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。
本日はこの答申、令和の日本型教育の構築を目指して、をテキストマイニングした結果をお伝えします。GWの成果です。頑張りました。
KHコーダーの利用
テキストマイニングには様々なツールが利用できます。
検索するとたくさん出てきます。無償で利用できるもの、有償のものなど様々です。例えば、無償で利用できる手軽なツールとしては
https://textmining.userlocal.jp/
これをご存じの方が多いでしょう。例えば、講演会等でフォームでアンケートを実施し、自由記述をすぐにここに入れて、ワードクラウド※1を作ったり、共起ネットワーク図※2を作ったりするのを見た方もいらっしゃると思います。
今回、私は、無償で利用できる中でも私が使って使い勝手が良いと感じているKHコーダーで分析することにしました。
立命館大学樋口耕一先生が開発されているテキストマイニングツールです。大変お世話になっています。ありがとうございます。
強制抽出語設定
テキストマイニングで使用されている基本的な辞書は、基本的な辞書なので、例えば「教務主任」という言葉は「教務」「主任」という風に分かれて認識することがほとんどです。ですので、「これは1語ですよ」というのを設定しないままテキストマイニングすると、「教務」と「主任」関係が深い!! という結果が出力されてしまいます。学校で利用されているソフトウェアに関しても、固有名詞として認識しないと、「いつも一緒に出てくる単語=関係が深い」と判定され、正しい結果が出ません。
今回、私が強制抽出語としてリストアップしたのは以下の通りです。(順不同)参考になさっていただければと思います。
令和の日本型学校教育
新しい時代の初等中等教育
教育課程
教員養成
新しい時代
ワーキンググループ
文部科学省
有識者会議
新型コロナウイルス感染症
個別最適な学び
協働的な学び
学校教育
持続可能な開発目標
新学習指導要領
中央教育審議会
ポストコロナ
ニューノーマル
デジタルトランスフォーメーション
教育行政
Society5.0
カリキュラム・マネジメント
主体的・対話的で深い学び
GIGAスクール構想
校内LAN
スタディ・ログ
デジタル教科書
校務支援システム
クラウドサービス
バリアフリー
コミュニティ・スクール
スクールカウンセラー
スクールソーシャルワーカー
社会に開かれた教育課程
プログラミング的思考
情報モラル
スクール・ポリシー
GIGAスクールサポーター
ICT支援員
ICT人材
地方公共団体
教育委員会
特別支援
表記が揺れていると困るのですが(例えば「スクール・ソーシャルワーカー」と「スクールソーシャルワーカー」)さすが中教審答申、表記が揺れている、と私が知覚できたものはほとんどありませんでした。「GIGAスクール構想」は、強制抽出語としておかなければ絶対に一つの単語としては判定してもらえないですね。
この強制抽出語一覧をご確認いただいて、「それはちょっと」という点がありましたらどうぞご指摘ください!
データクレンジング完了(注釈の削除)
細かく段落が別れているのは(つまり面倒くさいのは)平成27年(2015年)と書いてあるような部分が多かったです。以下のような感じです。
そうなっているのは注釈部分が多いのですが、注釈は今回のテキストマイニングの範囲から除外しました。答申の本質とは違うかな、と思ったので。(たぶん「平成27年」とかが頻出語句になってしまいます)
不必要な箇所での改行を改め、最終的に友人に励ましてもらいながら、最後までやり切りました。その節はありがとうございました!!
共起ネットワーク図
では、GWをかけて頑張ってきた私へのご褒美として、共起ネットワーク図を作成してみます。KHコーダが頑張ってくれました!!
語の最小出現数50
期待していた「ICT」は「活用」とよくセットで使われており、かなり何度も述べられている教育や学校や児童生徒と近い関係がありそうです。
また、薄く「環境」とも関連があり、「ICT活用」を児童生徒の学習に活かす、「ICT環境」を整備する体制が必要、ということが書かれていると読み取れます。
充実を図ったり、在り方を検討したり、ということ、関係機関と連携すること、資質や能力を育成するということは、答申の中に繰り返し出てきた言葉ですね。何の充実を図るのか、在り方を検討するのか、ということについては大事なことが様々書かれていましたので、それはこの図には表れていません。
答申の文書は語尾が「必要である」「重要である」ばかりだな、という印象を持っていましたが、この図には「教育」と「重要」がうっすら関連があるだけで、明確にそれは表れていません。印象で話をしてはいけない、ということを改めて思いました。
Userlocalでワードクラウド
さて、共起ネットワーク図では少し肩透かしを食らいました。もっとICT活用についてガンガン書いているかと思ったのですが、これも印象だけで言っていてはいけません。
では、ワードクラウドにしたらどうか、ということを思いましたので、上記でご紹介したUserlocalでワードクラウドを作ってみました。強制抽出語は30までしかないので、上記リストから厳選して30個登録してあります。
児童生徒が圧倒的に多いですね。その次くらいに特別支援とictが多く言われているように見えます。
「踏まえる」については、KHコーダーでの解析では見当たりませんが、Userlocalだとかなり出てきている、と出ていますね。使っている辞書が違うと考えられますので、結果も微妙に変わってくるのは当然だと思います。
「これでこう出たからこう!」と決めてしまうのは少し早計だということですね。
一番いいのは理屈を知って、「でも手で計算するのは大変だからツールを使おう」という発想に持っていくということです。ただ、理屈を腑に落とすには統計等の勉強をしっかりする必要があるので、なかなか大変です。
そのため、「1つのツールに頼るのではなく、いくつかのツールで比べてみる」という方法を取ることが有効だ、ということも考えておくといいですね。
まとめ
長い時間をかけて中央教育審議会答申「令和の日本型教育」を読んできました。
ICTを活用するということを1つの軸に、大事なことがたくさん書かれていた答申です。
今後国がどうしていこうと考えているのかを読み解くのに中教審答申は外せません。まず読む、そしてそこから一歩踏み出して、「その中で何が重要なのか」批判的に読む、ということが大切ですね。
このような文書は、大事なこと全部盛、にしておかないといけないので、あらゆることが書かれてとても長くなります。その中で、「これが言いたいんだろうな」ということを見つけていき、「それって重要かな」という視点を持つのが大切です。
次回からは別の文書をまたご一緒に読んでいきましょう。よろしくお願いします!
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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