学校教育の情報化の実態化に関する調査 トピックス3

みなさんこんにちは。
今回も学校教育の情報化の実態化に関する調査http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/jouhouka/kekka/1260031.htm
についての掘り下げたお話をさせて頂ければと思います。

昨夏、平成28年3月1日現在の学校教育の情報化の実態化に関する調査の結果が文科省より発表されました。
都道府県別に整備率等発表され、集計、統計が行われていますが、今回は
学校における教育の情報化の実態等に関する調査> 平成27年度> 調査結果
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001077178&cycode=0
にある、「都道府県別「教員のICT活用指導力」の状況(「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答した教員の割合の大項目別平均)及び研修を受講した教員の割合」の「小学校」に注目してみたいと思います。

小学校の先生は横断的にすべての教科、生活指導等を行っています。
中学校では技術の先生、高校では情報の先生というICTに関する専門家が存在しますが、小学校の先生はそれこそジェネラリストとしてあらゆる方面の知識、技能を持っている必要があります。

そのため、小学校の先生の現状を見れば、その都道府県の様子もわかるのではないかと思い、エクセルをDLしてみてみました。

大項目AからEとICTに関する研修の受講率の最大値、最小値、その差を取って見たのが以下の表です。

A B C D E 研修
最大値 94.7% 93.6% 85.2% 91.7% 92.8% 99.6%
最小値 78.5% 63.3% 56.3% 67.5% 70.2% 13.1%
16.2% 30.2% 28.9% 24.2% 22.6% 86.5%

項目はそれぞれ

  • A:教材研究・指導の評価・準備などにICTを活用する能力
  • B:授業中にICTを活用して指導する能力
  • C:児童のICT活用を指導する能力
  • D:情報モラルなどを指導する能力
  • E:校務にICTを活用する能力

となっています。

A、Eは先生ご自身が授業以外のところでICTを使う能力について聞かれています。
B、Dは先生ご自身が授業でICTを使う能力、Cは児童に使わせるために必要な指導能力について聞かれています。

そこで表を見ると、ほぼ全国の先生が8割以上できているのがAのご自分で教材研究等にICTを活用する能力です。
最も活用している県とそうでない県との差も16.2%と満遍なく高い能力があることがわかります。
Eの校務にICTを活用する能力は差が22.6%、特に最も活用していない県がAより8%も少ないのですが、どうしてこう差が出るのでしょうか。

私は、先生は「授業最優先」であるため、「授業のために」ICTを活用することには積極的でも「校務のために」ICTを活用する余力がないのではないかと思います。
校務支援システムは慣れれば非常に便利ですが、今まで「システム」というものを使ったことがない場合、概念を理解するところから一苦労です。
エクセルの関数も、単純なものなら良いですが、ほかの人が作ってくれたエクセルを使って自分なりにアレンジしようと思うと大変ですね。
ですので、同じ「自分が使う」でも違いが出ていると考えます。

続いてBとD、授業でICTを活用する能力ですが、こちらも差がでています。
Dの情報モラルについては、先生方は待ったなしの状況にいらっしゃいます。
小学生でもすぐにスマホが当たり前の時代が来るでしょう。
インターネットであっという間に世界中に情報が拡散する、という時代ですので、先生の関心も非常に高く、積極的に研修等で勉強していらっしゃいます。
一方、Bですが「授業中に」活用するためには、授業で使える機器と環境があることが大前提です。
教室にLANがない、パソコンもない、電子黒板はフロア違いのところに1つあるだけ、というような状態では授業中に活用したくてもできません。
また、授業中に活用するためには機器の操作に習熟している必要がありますが(どこをクリックしてたっけ…という10秒の迷いでも授業では大きなロスになります)導入数が少なければ少ないほど、習熟の機会も減っていきます。
よって、Bは整備の状況に非常に左右される項目といえますね。
最も活用の進んでいるのが佐賀県だと聞くと、さもありなん、という印象です。

最後にC、児童に活用させる指導力ですが、これはBと同じく環境に大きく左右されるうえ、研修等の先生方へのフォローアップも欠かせません。
「タブレットを活用し、グループで意見交換を活発に行う」などという教育活動はそれこそ、ここ数年で出てきた活動で、その活用現場を見たことがない、という先生方のほうがはるかに多いと考えられます。
実際に授業を見ればインスピレーションが湧きますが、タブレットで何ができるのか、というところから調べている余裕は先生方にはありません。
したがって、
環境が整備される → 自分が使って操作に習熟する・研修を受講して知識を蓄える → 授業で使ってみる → 先生が使っているのを見て子供が覚える → 子どもがICTを活用する

というサイクルが導入に最も効果的なのではないかと思います。
導入しても使わない、と感じられている行政職の方もいらっしゃるかもしれません。そこで、「先生が自分で使えるだけの数」「先生が使えるようになる研修」までをセットにして考えると、おそらく活路が見いだされてくるのではないかと思います。

毎年出されている文科省の調査結果ですが、私は、できる限り学校に負担をかけずに回答を行うため、現在ご契約頂いている自治体をご支援させて頂いております。
学校には情報資産管理システムで追いきれない機器の棚卸と、先生方のICTリテラシーについての調査を行って頂くだけで済むようになりました。
先週の金曜日、県に提出するデータを作成し終えてほっとしているところです。

 今後も発表資料に注目して、行政職の皆様のお役に立てる記事をお伝えしていきます。

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株式会社ハイパーブレインです。
教育の情報化に貢献し,豊かな会社と社会を作ります。