教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月)9

皆さんこんにちは。

2024年1月(令和6年1月)教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン改訂版が公開されました。

平成29年10月に第1版が公開されて以降、時代の要請にあわせて何度か改訂が行われてきました。令和4年3月以来約2年ぶりの改訂です。セキュリティ、と聞くと身構えてしまいがちですが、今後の世界を生き抜くためにはどうしても必要な知識となります。過剰に恐れることなく、甘くみて大変なことになることもなく、ちょうどよい塩梅をご自分で見つけられるよう、まずはガイドラインに触れていただきたいと思います。

今回も見え消し版を使いながら、ご一緒にゆっくり読んでいきましょう。

第1編 総則

第2章 地方公共団体における教育情報セキュリティの考え方

基本理念が7つ紹介されており、それをもとに第2編で対策基準の例をまとめているという構成になっています。

⑤教職員の情報セキュリティに関する意識の醸成を図ること

ガイドラインでは簡潔に2行書かれているだけの部分です。「研修等を通じて、教職員の情報セキュリティに関する意識の醸成を図ることが必要である。」ことはとてもとても重要ですが、これ以外に書きようがないのだろうな、ということもわかります。

教職員の情報セキュリティに関する意識は残念ながらムラがあります。過剰な個人情報保護、機密事項、の認識があるものと、情報を持ち出す、アクセスすることに対する一切の罪悪感のなさ、ということがまじりあっています。

また、自分が起こしたセキュリティインシデントについて、他人事のように扱ったり、自分が被害者であるかのような言動を見かけることもあります。

これらは、適切な教育を受けることで是正できるものだと思います。先生方は、常に学び、ご自身をアップデートされている存在ですから、わかりやすく自治体の実情に沿ったセキュリティハンドブック等が整備されれば、きっと状況は格段に良くなると思います。

⑥教職員の業務負担軽減及びICTを活用した多様な学習の実現を図ること

ICTを活用する際にずーーーーーーーーーっと言われていることです。ICTを活用して業務負担を軽減しよう、ということは。

現状は、「タブレットが入ったから今までにない仕事が増えて余計に負担に感じる」先生が多いということを肌で感じています。

これはつまり、ハードウェアだけを整備しても、現場の業務負担軽減には直接つながらず、その仕組みを作り、継続していくことがとても大事だということを示唆していると考えます。今後の世界では、1人1台を使うのが当たり前の社会になりますから、勉強も1人1台を使って実施するというのは当たり前になっていくでしょう。その時に、「うまく使える仕組み」を構築し、維持し、アップデートすることがとても大切になります。

今までのやり方にタブレットを当てはめると無理が生じますから、柔軟に対応できるようにするためには、タブレットの特性や使える機能についてよく知っている必要がありますね。

行政職の皆様は、「入れたらあとは現場が何とかする」苦労は、ご自身の身をもって経験されていると思います。学校現場への仕組みづくりを合わせてご検討いただけるとより効果的な活用ができると思います。

⑦児童生徒の情報セキュリティ・情報モラルに関する意識の醸成を図ること

学校に一番たくさんいるのは児童生徒であることが多いです(過疎地域では逆転していることもありますが、それでも児童生徒は学校の中で最大といってよいステークホルダーだと思います)

情報セキュリティ・情報モラルは、今後の社会を生きていく子どもたちにとって必要不可欠なものだと思います。

ただそれは、べからず集を覚えさせることではないですね。なんでもむやみやたらと禁止するのはダメですし、なんでもむやみやたらとオープンにするのも違います。

チャットツールでいじめが起きたから、チャットツールは禁止、ということでは問題は解決しません。今まで先生方がされてきた、道徳の延長線上にあることを、行政職の皆様もご理解いただければと思います。

子どもたちの発達段階に合わせて、適切な知識を身につけることができるようにすることが重要ですね。

来週は教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和6年1月版)第1編総則の続きを読んでいきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。