教員の多忙化を考える

皆さんこんにちは。先回の「教員の多忙化」のご説明について、大きな反響をいただきました。
インタビューから推測される教頭先生の1日と、現場観察とのギャップが大きい、ということがビジュアルでわかりやすくまとめられている大阪市の資料は非常にインパクトのあるものですね。
先生方は「自発的に」やる仕事についてはインタビューに答えられますが、「他発的に」やる仕事は答えづらいものです。それを明確に図示した大阪市の資料を見た瞬間、私はこれだ!と思ったものです。

 もう一度ご確認ください。
多忙な教員の実態
出典:文科省 2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会(第2回)資料3 大阪市教育委員会発表資料 (PDF:1916KB) 2P http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1369517.htm

 さて、それでは「他人からのアクション」がない場合、先生は多忙ではないのでしょうか。
残念ながらそうではありません。学校と先生に求められる役割は、年々増加の一途をたどっています。行政職の皆さんもその雰囲気は感じ取っていらっしゃるのではないでしょうか。
では、先生はどれくらい多忙になったのか、以下の図をご覧ください。
教育基本法第2条

出典:文部科学省 教育基本法資料室へようこそ! 教育基本法ってどんな法律? 改正前後の教育基本法の比較(PDF:172KB)http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf 2P

 昭和22年に制定された教育基本法は平成18年に改正されました。

以前のものは全11条。

現行は全18条あります。

条項が新設された数もさることながら、同じ条項内でも条文が長くなっている個所が多くあります。
第2条は象徴的ですが、教育の目標として「幅広い知識」「道徳心」「健やかな身体」「創造性」「自律の精神」「職業」「男女平等」「公共の精神」「主体的に社会の形成に参画、発展に寄与」「生命を尊ぶ」「自然を大切に」「環境の保全」「伝統と文化の尊重」「郷土を愛する」「他国を尊重」「国際社会の平和と発展に寄与」と実に多くの内容が盛り込まれています。
平成18年以前に教員免許を取得した先生は、第2条で述べられていることを「自ら学んで」「子どもたちに教える」必要が出てきたわけです。
もちろん、それまでの教育活動でそれぞれの先生は素晴らしい活動をされています。ただ、法律で書かれるのとそうでないのとでは、行政職の皆さんならどのような違いがあるかお分かりいただけるのではと思います。
このように、先生が教えるべきことは着実に増えています。
そして、平成18年改正時に唯一削除された条文は「教育上男女共学は認められなければならない」という既に時代にそぐわない文言となっていたものだけなのです。

次回はTALISから見る多忙についてご説明させていただきます。

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